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2022.04.25 政務活動費

議員報酬をめぐる「新しい原価方式」とは!(下) ──『議員報酬・政務活動費の充実に向けた論点と手続き』刊行に寄せて──

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大正大学社会共生学部公共政策学科教授 江藤俊昭

議員報酬・政務活動費をめぐる誤解を解く  

 議員報酬をめぐる議員間での討議を進めるためにも、また住⺠とのボタンの掛け違いを防ぐためにも、議員報酬・政務活動費をめぐる誤解を解くことが必要である。令和4年報告書でも、行政改革の論理(効率性重視)と議会改革の論理(地域⺠主主義の実現)の相違、現職だけではなく将来の議員が活動しやすくする条件、定数と報酬の論理の相違、専門家の支援を受けつつ住⺠と考える場の必要性などを提起し、それぞれの⾃治体・議会で⾃らのポリシーを明確にすることを提案している。  
 今日、議員報酬をめぐる議論が盛んに行われることは時代適合的であるが、誤解もみられる。令和4年報告書は、その誤解(政務活動費も含めて)を五つの点から正している(報告書では前述した「新しい原価方式」で説明した二つのポイントとかかわる論点も含めている(七つの誤解))。詳細は、報告書全体で確認しているが、ポイントを確認しておこう(抜粋)。

(1)議員は非常勤の特別職ではない  

 議員は非常勤ではない。議員報酬は、給与ではなく、また他の特別職の報酬とも異なる。非常勤の特別職の報酬とは異なり、月額や期末手当支給も可能なこと、費用弁償は義務化されていることを想定すればよい(⾃治法第203条、旧第203条も同様)。私たちがよく参照する地⽅⾃治法の逐条解説でも、議員を非常勤と規定することに慎重であるべきだと指摘している(4)。そもそも、旧第203条をもって議員を「非常勤の特別職」と規定することは誤読であるという見解もある(5)。特別職ではあるが非常勤ではない。非常勤という誤解を避けるためにも、地⽅議会及び議員の位置付けを明確化することが必要だ。

(2)昭和53年モデルはあくまで当時の「標準」  

 議員報酬額はそれぞれの議会が独⾃に算出しなければならないが、昭和53年モデルでは、議員報酬額は⾸⻑の給料月額の30%ないし31%相当額という「標準」が提⽰されていた。現在においても議員報酬額の検討にあたって昭和53年モデルの「標準」を参考としている団体も散見するが、これはあくまで当時の「標準」であり、令和時代の議員報酬額の算定にあたって、直接これを当てはめることは適当でない。各議会はそれぞれ状況も異なるし、そもそも40年以上も経過し大幅に活動量が増加している。それぞれの議会が課せられている役割を認識し、独⾃に報酬額の水準を考察する視点が必要である。  
 こうしたことから平成31年に町村議会モデルを改訂した。平成31年モデルではそれぞれの議会・議員活動を明確に⽰す必要があることを指摘し、全国共通の「標準」を提⽰することはしていない。

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