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特集 地方創生

2014.09.10 まちづくり・地域づくり

人口減少時代のシティプロモーション 営業する市役所 熱海市のメディア広報戦略

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メディア広報とその効果

 熱海市は2011年度から段階的に「営業する市役所」として、シティプロモーション活動を強化してきました。
 その効果ですが、第1に入湯税で見る宿泊客数は、2013年は283万人で対前年19万6,000人、7.4%の増加となりました。同時期の伊豆地域全体の伸び率が1.2%ですから、産業界の努力や宿泊施設のリニューアルなどと併せて、シティプロモーションの効果があったと考えています。
 第2に、街のイメージの向上ですが、人気温泉地ランキング2014(リクルートライフスタイル)では、「もう一度行ってみたい」で18位から13位に上昇し、特に20代の評価が上がりました。メディア露出が増えて、若者のお客様が増えたという街の声とおおむね一致する効果です。
 この間に熱海市が最も力を入れてきたのがメディア広報、パブリシティの活用であり、本稿ではその取組事例やポイントとなる考え方をご紹介したいと思います。

具体的な活動と実績

(1)「ADさん、いらっしゃい」
 「ADさん、いらっしゃい」とは、市役所職員によるテレビ番組等のロケ支援・誘致活動です。広報素材の情報提供はもちろん、ロケ弁や宿泊場所の手配など、ADさんが日頃苦労されている作業を24時間365日サポートすることで、テレビ番組の放映等につなげるものです。
 2013年度は1年間で全国放送などのテレビ番組52本をはじめ、ドラマ、映画、雑誌など多数の掲載につながりました。ポイントは、熱海市を心から愛し、市内を知り尽くした市役所職員が徹底して対応していること、市民や産業界の皆さんが積極的に取材、出演に応じていただけることです。予算は本人の人件費のほかは携帯電話代だけで、正確な効果は測定できませんが、広告換算をすれば1億円以上の効果があったと考えています。

網代漁港で行ったロケ支援(「元祖!大食い王決定戦2013秋の最強戦」)網代漁港で行ったロケ支援(「元祖!大食い王決定戦2013秋の最強戦」)

(2)地域メディアとの良好な関係構築
 市役所の記者会に所属している方など、地域のメディアと日頃から良好な関係を築くことも重要です。なぜならば、地域のメディアで複数回取り上げられた素材は、全国メディアで取り上げられる機会も増えるからです。
 例えば、熱海市内の事業者がてんぷら専用として椿油を打ち出した事案では、行政の仕掛けた地域の報道がきっかけで全国メディアの取材が来て、一時爆発的な売上げを記録しました。これが情報の連鎖、波及効果です。
 それだけでなく、日頃接する記者さんからは、「情報にニュースバリューがあるか」など様々な助言もいただけます。地域のメディアとの関係構築に当たって大切なのが、積極的な取材対応です。特に、不祥事事案やトラブルなど行政にとって都合の悪い情報であっても、しっかりと記者会見などを行うことで、お互いの信頼関係が深まります。市外のメディアとも基本的には同じですが、接触頻度が低いので、メディアリストをつくり、定期的にニュースレターを送付するなどして、関係の継続を工夫します。
(3)広報企画力
 広報企画とは、発信したい素材がある場合に、ニュースバリューがしっかり伝わるプレスリリースを発信したり、企画を練って、メディアに情報提供することです。
 例えば、温泉の熱を使って発電する「低温度差発電」の実証実験の際には、見出しに「温泉湯気利用」といった話題性のある用語を入れたプレスリリースを送付した結果、全国放送の経済ニュース番組で放送されました。
 また、花木等の季節感のある素材では、梅、あたみ桜については「日本一早咲きともいわれる」、紅葉については「日本一遅いともいわれる」といった一般的な季節感とのズレを生かして広報し、全国放送のお天気コーナーで放送されました。新規性、社会性、話題性といったメディアの判断基準に対して、自らの素材をどう編集し発信できるかが鍵です。

この記事の著者

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