2026.05.25 New! 仕事術
第35回 どうするボス議員①
得票最大化がいつのまにか利殖最大化へ
残念ながら私の知り合いの埼玉県内の市議会議員や元市長も、入札妨害や公職選挙法違反、贈収賄で逮捕され判決も確定しています。ある市議会議員の場合は、当該市の市長と共謀して入札価格を漏らした疑いで起訴されました。金額的には、数十万円と少額でした。政治家が贈収賄事件を起こすケースでは、おおむね利殖行為、つまりおカネを得るための手段として政治家という地位を利用します。八代市のケースでは、収賄で得たおカネで自宅を新築したともいわれています。成田市の場合も利殖行為です。
政治家にとっては、当初はカネではなく、どちらかといえば票を得るために政治的地位を利用することもあります。そもそも、地域住民の要望を反映する活動は、集票のための重要なツールです。ところが期数を重ねると、当選順位は、市議会議員であれば、県議会議員を目指す場合などは一定の影響力がありますが、議会内の役職にはほとんど影響しないことが理解できるようになります。むしろ、不必要に票数を稼ぐとかえって他の議員からにらまれます。そうしてある時点から、票とおカネ、そして最後にはおカネだけとなっていくのかもしれません。残念ながら、筆者はどちらもうまくいかず、票をしっかり獲得するためのビジネスモデルも確立できませんでした。一方で、現職当時も、市長や他の議員のビジネスモデルについては、なるべく把握するように心がけていました。当然ながら、ビジネスモデルの確立は、特定の者への利益誘導につながり、住民全体の利益を阻害するようになるからです。
今回の連載は、主に1期目などの期数の若い議員、特に少数会派の議員向けに、有用な情報を提供することを意図してきました。少数会派の新人議員の場合、ビジネスモデルが見えにくい状況にあります。筆者の場合は、どちらかというと保守系の少数会派でしたが、同部屋になった市長選にも出馬経験のある事情通であった先輩議員や、新人議員ながら親族も議員であった同僚議員から、微に入り細をうがって、ビジネスモデルの種明かしをしていただく幸運に恵まれました。
今回の原稿は、決して議員の地位を利用したおカネもうけのビジネスモデルを確立してくださいという話ではありません。しかし、他の議員や首長の集票や集金のビジネスモデルはしっかりと把握すべきというお話です。その上で、住民の皆さんに不利益を及ぼすようなビジネスモデルは、断固粉砕してください、そのためには特定の議員が利得をむさぼるボス化するのも防ぐように議員活動を進めてくださいというお話です。成田市議会のように、そういった個人的な利得を得る行為を抑止するために政治倫理審査会を活用するという手法もなくはないですが、今回の案件も大々的な新聞報道等によって争点化されたことから、審査会設置にこぎつけたと思われます。そうでなければ、審査会設置のハードルは相当高いと考えた方がよいでしょう。
一方、ボス化も個人の利得を得るためではなく、対執行部に対してしっかりと物申す体制を整える観点からは、必ずしも悪いことばかりではありません。なかなかそういうケースは少ないようですが。
次回は、筆者が同僚議員とともに、ボス化を抑止した事例の紹介です。副作用として定例会が実質的な審議に至らずに流会しましたが。
(1) KAB ONLINE 2026年5月7日「庁舎建設めぐり6000万円…あっせん収賄容疑で八代市議ら3人逮捕 逮捕前『断固否定…』発言も」。
(2) FNNプライムオンライン2026年4月28日「八代市新庁舎 百条委員会で元職員が証言『中村前市長が総合・一括でよかか電話』」。
(3) 東京新聞デジタル2026年5月14日「渦中の市議はかつて『私が土地を紹介』『具体的な額は…』 みんなで大家さん巡り成田市議会が政倫審開催へ」、日経ビジネス電子版2026年5月12日「[独自]成田市議側に約10億円を提供、『みんなで大家さん』運営の共生バンク」、NEWSjp 2026年5月8日「『みんなで大家』成田市議2人の疑惑受け 市議会超党派で“政倫審”を請求」。
