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2026.05.11 New! 予算・決算

第8回 立場の鎧を脱ぎ捨てて

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市民との相互理解だってお手のもの

 市民の立場や視点に基づき、自分の仕事を客観視することも同じです。
 私たち公務員も仕事を離れれば一市民です。
 公務員ではない他の一般市民と何も変わることなく、税金を納め、住民サービスを受け、公共の施設を使って日々の暮らしを営んでいます。
 役所から届いた通知文書が難解で理解できない、ホームページでの情報のありかが分からないと電話で問い合わせることも、一市民としてよくある話。
 役所で決まったことが新聞に載り、その内容に違和感を覚え、誰がどういう経緯で決めたのか知りたいと問い合わせたり、決定の過程に自分たち市民をもっと関わらせてほしいと思ったりすることもあるでしょう。
 私たちが仕事を離れ、一人の市民として感じること、知りたいことや分からないこと、こうしてほしいと思うことこそが、私たち公務員が普段仕事をする上で考えなければいけないことそのものなのですから、市民が何を考えているか、市民に聞かなければ分からないということではないはずなのです。
 それなのに、毎朝、職場で自席に着いたとたんにその市民感覚にふたをし、役所の中でしか通じない論理で「お役所仕事」にまい進するのは愚かなことです。
 仕事をしながらいつも自分自身の市民感覚に照らし、私がこの文書を受け取ったら分かるだろうか、私がこの情報を知りたいときにきちんとアクセスできるだろうか、私がこの政策決定の内容を知ったらどう思うだろうか、ということを考えながら仕事をする。
 公務員の職場は確かにいくつかの守らなければならない決まりはあるものの、職場に着いたら我を殺して感情のない機械のように決められたルーティンをこなせ、というほどの非人間的な場所ではないのですから。

立場の鎧(よろい)を脱いで

 組織の縦割り打破にしても、行政と市民とのすれ違いからくる「お役所仕事」の一掃も、私たち自身が自分の職場で与えられた職務を遂行する際の愚直な忠実さが一因となっています。
 私たちは公務員として法令を遵守し、上司の命令に従い、組織の使命を達成するために全力を尽くす「組織の使命に忠実であらねば」という呪縛にとらわれているのです。
 公務員ならではの強い使命感も大事ですが、この強いとらわれからの解放が、市民への心を開き、市民の立場、意見を理解することにつながります。
 そのためには、与えられた立場に忠実であらねばならないという縛りを解放するスイッチを自身で自在に操ることができる環境が必須となります。
 そこで邪魔になるのが、公務員がその身を守るために常に身に着けている「立場の鎧」です。
 この鎧を身に着けている限り、個人として自分自身が責められ、必要以上に傷つくことはありません。
 しかし、その重さ、頑丈さゆえに小回り、融通が利かず、相手の立場をおもんぱかることができずに、かたくなな態度をとってしまいます。
 「対話」を始めるには、まずその「立場の鎧」を脱がなければなりません。
 必要に応じてその職務、立場を離れ、個人として自分らしくあることができる居心地の良い職場。
 これまでの個人的経験にひも付いた自分自身の価値観や思いを言葉にし、共有できる風通しの良い職場。
 行政と市民とのすれ違いや組織の縦割りに起因する「お役所仕事」の一掃は、公務員自身の心を解放することができる、居心地の良い、風通しの良い職場づくりが第一歩です。
 そのためには、市民、議会が公務員の無謬性や公平性への過剰な期待を捨て、公務員がその立場をいったん脇に置き個人として考え、発言することを許容することも重要になります。
 この記事をお読みの議員の皆さんは、職員と接するときに彼らが「立場の鎧」を脱ぐことができないような追い詰め方、問いただし方をしていませんか。
彼らが市民や議会に対して抱く「恐れ」の感情を解きほぐし「立場の鎧」を脱がせることが、公務員が自らの変幻自在な「対話」体質を覚醒させることになるのです。
 このことを念頭に置いて、職員との「対話」を心がけていただければと思います。

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編集 者

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