指導者の質の問題をもう少し考える
江口〔議〕 地域クラブ活動において指導者として指導に携わることについては、スポーツ選手のセカンドキャリアとしても良いと思います。また、退職後の教員のセカンドキャリアとしても考えられると思います。
石田〔議〕 私も、指導者として元スポーツ選手の指導を受けることには大きなメリットがあると思います。やはり、大舞台を経験した元選手から直接教わることは大きな経験だと思います。
大倉〔議〕 一度だけ指導を受けるのではなく、継続することが大事だと思います。そのためには、部活動の地域展開と併せて、セカンドキャリアに関する制度をしっかりつくらないと、継続的に元選手を派遣していくのは難しいのではないでしょうか。
渡邉〔弁〕 私からも質問があります。現在の制度上、外部指導者が休日の試合等で生徒を引率することはできるのでしょうか。それとも、教員が同行せざるを得ないのでしょうか。
大倉〔議〕 品川区での話ですが、休日も部活動指導員が引率することができます。そのため、休日の教員の負担を減らすことができていると思います。
石田〔議〕 品川区では、一つの学校につき二つの部活動を目安に、部活動指導員を民間に委託しています。
そもそも部活動は必要なのか
滝口〔弁〕 これまで部活動の地域展開に関する話を伺い、「何のために部活動を行うのか」という点を考えなければならないと感じました。皆さんに伺います。そもそも、部活動は必要なのでしょうか。
千葉〔弁〕 学校においては、部活動はまさに生活と一体となっている印象でした。自分は途中で部活動をやめてしまったのですが、部活動をやめた後は、学校で肩身が狭い思いをした記憶があります。そういった意味では、部活動に参加することについては同調圧力があったと思います。
石田〔議〕 自分の経験からすると、部活動は教師と生徒とのコミュニケーションツールの一つではないかと感じます。顧問をした教師と生徒との間では、人間関係が非常に近くなると感じています。
江口〔議〕 私も小学校から大学まで、部活動の思い出がたくさんあります。その経験からも、部活動による教育的な効果は大きいと思います。
本目〔議〕 私自身は、部活動はなくてもいいと思っています。過去にはクラブ活動が必修で、全員入らなければならない時期があったと記憶していますが、そのような必要はなかったのではないでしょうか。
滝口〔弁〕 部活動は、一定の時期には、非行対策の意味があったでしょう。生徒たちのあり余ったエネルギーを、非行ではなく、スポーツ等ほかの方向へ向けさせるためです。
千葉〔弁〕 ただ、部活動でよく見られるような厳しい上下関係に、本当に意味があるかという思いがあります。マナーを覚えるのであれば、別の機会でもいいはずです。そういった意味でも、部活動はやはり必要ないと感じます。
金岡〔弁〕 私は、部活動に携わることで、自分がしたいことに挑戦することが可能になると思っています。また、部活動は費用も低廉なのがありがたいと思います。部活動の地域移行では、もう少し生徒ファーストの方法を考えられないものでしょうか。
千葉〔弁〕 先ほど部活動は不要ではないかと申し上げましたが、これまでの議論を聞いていると、今後も部活動やスポーツ活動を通じて、教師や指導者と生徒がコミュニケーションを図ることができるのは、良い面もたくさんあると感じました。
おわりに
滝口〔弁〕 「部活動の地域移行」は、自身の部活動経験によってその評価が変わる面がありますし、課題は山積みですが、一つひとつ整理していくことが大切だと分かりました。議員と弁護士との相互理解がさらに深まることを祈念し、今回の勉強会を終わりにしたいと思います。