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2025.04.10 リーガルマインド

第15回 「部活動の地域移行」から地域のあり方を考える

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地域移行すると何が変わるのか

滝口〔弁〕 具体的には、部活動をどのように地域に展開していくことが考えられるのでしょうか。
渡邉〔弁〕 部活動は学校教育の一環として位置付けられています。地域展開後の活動は、学校と連携して行う地域クラブ活動としての位置付けとなります。
滝口〔弁〕 運営の主体が代わるのでしょうか。
渡邉〔弁〕 これまでは学校が主体となり部活動を行ってきました。地域展開においては、市区町村はもちろん、総合型スポーツクラブや民間事業者といった多様な組織・団体が主体となって地域クラブ活動を運営・実施していくこととなります。
滝口〔弁〕 指導者は代わるのでしょうか。
渡邉〔弁〕 指導者についても、これまでは学校の教員が行ってきました。基本的には地域の指導者が指導を行っていくことになります。教員が兼業することも可能です。
金岡〔弁〕 地域移行した場合には、費用面では変わるのでしょうか。
渡邉〔弁〕 地域クラブ活動に係る費用については、なるべく低廉な費用を想定しつつも、受益者が負担することを原則とする考え方がとられています。
千葉〔弁〕 地域移行できない自治体はどうなるのでしょうか。
渡邉〔弁〕 学校部活動を存続させつつも、地域連携を行う方法についても当面は併存させることとなっています。地域の実情に応じ、直ちに地域展開を行うことが困難な場合には、学校部活動を継続しつつも、合同部活動を導入することや、部活動指導員を外部から配置する等といった対策をとることになるでしょう。

事故発生時の損害賠償責任

磯貝朋和〔弁〕 挙げていただいた課題のうち、指導者に対する責任については、具体的にどのような問題が考えられるのでしょうか。 
渡邉〔弁〕 公立の中学校の場合、これまで、指導者である教員の行為で生徒に損害が発生した場合は、国家賠償法に基づき、国又は地方公共団体に対して損害賠償を請求しており、教員個人に対する請求というのは、原則として認められないという建付けになっていました。
磯貝〔弁〕 それがどのように変わるのでしょうか。
渡邉〔弁〕 仮に地域クラブ活動中にスポーツ事故が発生した場合、当該運営主体はもちろんですが、指導者個人が責任を負う可能性が出てくることになります。公立の中学校ではなく、地域のクラブ活動を行う運営主体の下で活動がなされるためです。
千葉〔弁〕 損害賠償保険でカバーできませんか。
渡邉〔弁〕 実際に学校の部活動中にスポーツ事故が発生した場合、事故に対する補償については、これまでは日本スポーツ振興センター(JSC)による「災害共済給付制度」の利用が可能でした。
千葉〔弁〕 それが変わる?
渡邉〔弁〕 地域クラブ活動において事故の補償を受けるには、別途、保険に加入する必要があります。地域クラブ活動は学校の管理下とはならないため、「災害共済給付制度」を利用することができません。現状では、「スポーツ安全保険」という制度に加入することが想定されています。

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