他の自治体へのメッセージ
江藤:最後に、他の自治体へのメッセージがありましたらお願いします。議選監査委員には、守秘義務があって動きにくいということがありますので、その点に触れながらお話しいただけますか。
川上:監査というのは、議会と同じで必ず行政組織としてあるものです。監査はやらなくてはいけないし、報告をしなくてはならない。そこにエッジを利かせることによって、業務は必ず変わってきますし、市民福祉は必ず向上すると思います。監査機能をより充実させ、議会との連携を図っていけば、議会の監視機能と監査が持つチェック機能の両輪が秩序を守り、内部統制を使って管理をしていくという意味で、健全な市政運営につながると考えています。監査機能を制限することなく、どんどん指摘を受けて、改善していってもらえるような体制をとっていただくという考え方が必要だと思います。監査を敵対視する首長がいるかもしれませんが、監査というのは自分たちを健全な状態に改善してくれるものであると考え方を変えた方がいいと思います。私は監査を「かかりつけ医」という表現を使っているように、大きな病気になる前に健康診断で気づくことができます。監査を自治体の健康診断として受けて、ちょっと悪いところが見つかれば、早いうちに治す、ということだと思って取り組んでいただきたいし、議会ともうまく連携をとってほしいと思います。
また、守秘義務については、私も着任当初は何も話せないのかと思っていたのですが、4年目に入って思うことは、報告してもよいことがかなり増えてきて、ダメなことの方が少ないということです。個人情報保護法に抵触することはいえませんが、自分が当初思っていたより守秘義務が持つ範囲が狭まってきたように思いますし、議会に報告する内容はだいぶ増えてきたと感じています。
子籠:守秘義務については、判例をしっかり把握するようにしています。それにより、個人情報をはじめ、公表できること、できないことの線について、監査委員事務局として持っておくことが必要だと思います。
中核市ぐらいの大きな市でないと事務局職員も多くありませんし、数人の限られたメンバーで監査を行うことになるので、できることが限られると思われるかもしれません。でも、いろいろなことを行っている自治体があります。その動きが共有されればされるほど、こんなこともできるんだ、こういうこともやっていいんだ、ということがたくさん出てくると思います。いつでも当市へ視察にきていただいていいですし、呼んでいただければ、私もどこでも話に行きます。共有すればするほど、もっともっと自治体監査はレベルアップすると確信しています。
江藤:議選監査委員をテーマにお話しいただきました。監査委員と議会とが連携することで、地方自治力がさらにアップすると思います。議選監査委員と議会との連携によって、監査委員と議会との双方のパワーアップが図られてきていることが確認できました。お二人には、さらなる健闘をいただき、新たなモデルをつくっていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。