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特集 今改めて考える議選監査委員制度

2025.02.25 議会運営

可児市における議選監査委員の役割と監査の改革

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決算・予算政策サイクルと、監査委員と議会の連携

 可児市議会では、議選監査委員が予算決算委員会(議長・監査委員を除く20人)委員長の出席要請を受けて委員会に出席し、これら審査意見書の詳細説明を行い、委員からの質疑に答える時間を設定している。監査委員の説明は審査意見書の総括から始まり、決算収支→普通会計の決算状況(歳入の構成、歳出の構成、財政構造の弾力性)→実質公債費比率→一般会計(歳入、歳出)→特別会計→水道事業会計→下水道事業会計となる。
 今回の決算審査では、市債の状況と財産に関する調書の基金の状況について、委員と監査委員の考えを意見交換することができた。中でも基金については令和5年度末現在高が211億6,600万円と、この2年で約20億円増加しており、普通会計における基金の状況と財政調整基金の規模に関する考え方について、議会としての見解を聞くことができた。
 監査委員から提出された「一般会計・特別会計歳入歳出決算及び基金運用状況審査意見書」、「水道事業会計決算審査意見書」及び「下水道事業会計決算審査意見書」は、定期監査報告書等を含めて、議会の決算審査の折に必須の資料となる。また、監査委員から直接説明を受けて課題を共有することは、決算審査を通じた議会からの提言に大きな役割を果たすこととなる。
 このように、決算から次年度予算へつなげていく「決算・予算政策サイクル」は、議会が持つ監視機能を充実させることに大きく寄与することとなる。また、定例会ごとに例月出納検査結果報告、定期監査結果報告、指定管理者監査結果報告、財政援助団体等監査結果報告について予算決算委員会にて説明を行い、質疑に答えている。今後も監査委員と議会の連携について議会サイドからの連携強化が期待される。
 監査委員事務局からは、「令和4年度に監査委員からの提案で実現したこととして、積極的に現地監査を増やし、施設の状況や工事の現場に出かけるようになったことがある。現地に赴くことで、施設の安全や備品管理、財産の活用など直接確認する機会が増え、監査が大きく変化したと感じている。現地での監査は書面のみで行う監査と違い、担当部署の準備や負担も大きくなり、調整事項も増加し現場の理解も必要とする」との声が聞かれる。
 議選監査委員と市との関係では、議選監査委員は行政に精通しているため、各部署の事務や事業の内容を十分理解した上で監査に臨むことができる。一方で、監査で知り得た情報が一般質問などの材料とならないかといったことや、厳しく指摘されることを恐れ、被監査部署は情報を出さなくなるといった心配があるが、今のところそういった傾向は見られない。
 監査過程自体は非公開としている。非公開とすることで、様々な情報提供を容易に受けることができ、また率直な意見交換が可能となるため、監査を円滑に実施することができる。可児市では監査の記録を昨年度から被監査部署に照会するようにしており、全文記録ではないが、事務局で記録作成したものを被監査部署に確認してもらっている。当日回答が間違っていたものや答えられなかった質問については、記録の中で訂正をしてもらっている。修正後の記録は調書とし、担当部署、監査委員に配付している。

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