添田町の議会だより「こんにちは議会です。」
「議会だよりは添田町の『こんにちは議会です。』がいいと思います」との加治さんからのアイデアも加わり、加治さんが筑豊教育事務所の職員として「添田町役場議会事務局」、「添田町選挙管理委員会」、「添田町教育委員会」、「添田中学校生徒会」などに話を通してくださることになりました。
なぜ添田町の「こんにちは議会です。」を選んだのかというと、紙面づくりが子どもにも見やすいように意識され、イラストや写真が多用されていたからです。このような読み手を意識した議会だよりをつくる添田町議会ならきっと協力してくれるのではないか、という思いもありました。ありがたいことに、議会をはじめ選挙管理委員会、教育委員会など全ての機関に協力していただけることになり、プロジェクトがスタートすることになりました。特に添田中学校は、校長先生をはじめ現場の先生もとても協力的で、スムーズに制作が進行していきました。
動画プロジェクトの概要
直接学校に足を運び、先生たちや生徒会のみなさんと意見を交わしながらプロジェクトの意義や目的、具体的な動画の構成などを詰めていきました。その結果、プロジェクトの内容を分かりやすく伝えるため、以下のような質問形式でまとめることになりました。
【どういう動画ですか?】
添田町の議会だより「こんにちは議会です。」を添田中学校の生徒会のみなさんに紹介してもらう動画です。
【どのような構成ですか?】
議会だよりを5ブロックに分け、1ブロックを紹介者2名と司会者1名の計3名で紹介します。まず2名がページに書かれている内容を要約して紹介し、その後、気になったキーワードを答えてもらいます。キーワードが質問内容の場合、議会事務局からの答えをスライドに出し、その答えを踏まえてもう一言もらいます。最後に司会者が締めて1ブロックが終了となります。この流れを5ブロック続け、前後に挨拶と締めの言葉を入れて終了です。1ブロック2分で全体は約10分ほどの動画です(議会事務局からの答えは、あらかじめ生徒から質問内容をヒアリングしておき、撮影日に間に合うように手配しておきます)。
【動画制作の目的は?】
目的は、議会だよりの紹介を通じて一人でも多くの町民に議会の内容を知ってもらうことです。時間がない方や子どもたちにも伝わるよう動画にしました。特に小学生や中学生など若い世代に知ってもらうために、なるべく分かりやすく、シンプルに伝わるよう工夫しました。
【例えばどういった工夫ですか?】
小中学生に人気のユーチューバーのヒカキンさんやフィッシャーズさんの動画に使われているBGMや効果音を使って見やすく編集したことや、「議会だより」を読んだ中学生の素直な視点の質問に答えるというシンプルな構成にしたところです。
【動画をつくる上で気をつけた点や注意した点などはありますか?】
ページ紹介での要約コメントや気になったキーワードに制作側の視点が入ってしまうと、意図的な教材になってしまうので、そうならないように要約文は「議会だより」から抜粋し、気になったキーワードについても100パーセント中学生の視点をそのままコメントしてもらいました。制作側の組立てとしては骨組みのみとし、中身については議会事務局の返答と生徒のコメントとなっています。
【この動画をどのように生かしていきたいですか?】
添田町の公式ホームページに掲載していただき、大人から子どもまで多くの方に見ていただきたいと思っています。また、小中学生には学校の総合学習の時間などに視聴していただき、まちづくりの仕組みや議会、選挙、主権者意識などを学ぶきっかけとして活用していただきたいと考えています。
【これからどのような展開を考えていますか?】
まずは添田町で多くの方に見ていただいた上で、もし他の自治体がこの動画に興味・関心を持たれたなら、「まちの議会」と「地域の学校」、「制作チーム」が協力して同じような試みを行い、この活動を広げていければと思っています。さらに、動画の撮影から編集までを、出演者である中学生が行うことができれば、プレゼン能力の向上や動画の編集技術、課題解決に向かい合うアクティブラーニング等これから中学生にとって大切な能力を育んでいけるとも考えています。
ここで一つ、動画の中で実際に生徒から出た質問と議会事務局からの返答を紹介します。動画内では実際の「議会だより」のページをペアになって紹介し、そのページの中で気になったキーワードを一人ずつ発表するコーナーがあります。ある女子生徒が発表したキーワードは、「修学旅行のキャンセル料」についてです。ここで「なぜ修学旅行のキャンセル料を町が負担するのか気になります」と質問すると、議会事務局からの回答は、「コロナ対策で国からもらったお金を使い、町が支払いました」というものでした。このことから、お金の出どころは国だったことが分かったようです。修学旅行という自分たちにも関係のあることが議会で話されていることに驚いていた様子でした。