はじめに
これまで、「地方議会改革と生成AIの有効性」と「生成AIを使って何ができるのか?」では、地方議会改革と生成AIの関係、生成AI活用の基礎について見てきた。今回は、かなりハウツー的な内容になるが、地方議員が生成AIを活用する方法について見ていくこととする。具体的には、現時点で最もオーソドックスな生成AIであるChatGPTの有料版を使用することを前提に話を進める。それは、ChatGPTの無料版と有料版の性能があまりに違うことに加えて、有料版でのみ使用できる機能があるからである⑴。
一般質問のブラッシュアップ
議員活動でChatGPTを活用する最も基本的な方法の一つとして、一般質問のブラッシュアップが挙げられる。作成した一般質問の文章(案)をChatGPTに入力し⑵、「誤字・脱字」や「分かりにくい点」がないかを分析するとよい。今まで、「誤字・脱字」のチェックに時間がかかっていたことからすると、これだけでも効果を感じることができるであろう。また、チェック後には、下記のような項目について分析すると、問題点を指摘してくれる。その指摘が正しければ、それを反映した文章に修正するように指示を出せばよい。そうすると、修正された一般質問の文章を作成できる。
- 明確性:質問の目的と期待する答弁の内容(情報、意見、計画など)が明確か。
- 関連性:地方議会が抱える議題や地域社会のニーズと関連しているか。
- 根 拠:具体的な事例やデータに基づいているか。
- 簡潔性:質問の内容が簡潔で、余計な情報や複雑な言い回しはないか。
- 範 囲:質問で扱う内容の範囲は適切か。
一般質問の作成
一般質問は議員にとって、見せ場の一つである。ただ、長い質問の文章を作成することはなかなか容易ではない。しかし、第1回や第2回で見てきたように、ChatGPTを活用すれば、作成にかかる時間や労力を5分の1に短縮することも可能である。
質問を作成する具体的な方法であるが、最初から質問の文章をChatGPTに作成させるのではなく、段階を踏むことで、求めるものに近くなる確率は高くなる。再度、繰り返しになるが、ChatGPTの有料版は、無料版よりも推論する力が高いので、有料版を使用すると、求めるものに近くなる確率が上がる。
質問を作成するに当たり、最初にすることは、質問のテーマと入れるキーワードを設定することである。このキーワードは自分で設定してもよいし、ChatGPTに考えさせてもよい。次に、質問のテーマを明確にした上で、そのキーワードを盛り込んだ質問の文章をChatGPTに作成させる。ここでは、多くの論点を入れるのではなく、一つの論点に絞った方がよい。例えば、「私は、○○市議会議員です。市長に対して、学校の統廃合(テーマ)について質問を行います。質問には、先に挙げたキーワードを盛り込み、1,000字程度の文章にまとめてください」という指示を出せばよい。そうすると、質問の文章が作成される。ここからは、不足している点があれば、それを補い、自分の考え方に合わない部分は削除する。なお、これはややテクニック的な内容になるが、できた文章をブラッシュアップするには、下記の指示を出すとよい。この中で、お勧めは③である。これは、質問だけでなく、他の分野でも使われているものである。
① 私は、首長と考え方が正反対です。質問は厳しい内容にしてください。
② △△の問題を掘り下げてください。不足している点を補って、質問を再構成してください。
③ この質問の点数は、60点です。質問の点数を80点にするためには、どのように修正すればよいですか。
④ この質問は分かりにくいです。高校生にも分かる表現に修正してください。