生成AIによる議会改革の可能性
前回、「地方議会改革と生成AIの有効性」で紹介したように、生成AIは地方議会改革の大きな推進力となり得る。生成AIの導入は単に質問作成を効率化するだけでなく、新人議員でも質の高い質問が可能となり、議会全体の質問レベルが底上げされる。さらに他の議員や職員にも良い影響を与え、ひいては議会全体の力を引き上げることが期待できるためだ。今回は、具体的にChatGPTを用いながら生成AIを使って何ができるかを紹介する。
なお、今回の寄稿の元となった地方議員向け生成AI研修は、早々に満員になったばかりではなく、参加した議員から「ぜひうちの議会でも研修を開催してほしい」との要望を多数いただき、各地域での開催が続いている。そこで、一人でも多くの議員の方に議会活動に活かしてもらおうと、特別に第一法規の皆様の協力を得て、議員NAVIにて研修内容の一部を披露する場を用意していただいた。まだ生成AIに触れたことがないという方も、ぜひ本稿を参考にしながら生成AIに触れてみてほしい。
ChatGPTをヒトに例えると……
まず、ChatGPTは「議会事務局の新人職員」と捉えると分かりやすいだろう。新人だが非常に優秀で、頭の回転が速く、性格も素直で真面目だ。議会に配属される前に、インターネットで自ら学習もしている。
しかし、それだけでは十分な仕事はできない。新人職員であるChatGPTは、過去の経緯や業務の目的、アウトプットのイメージが明確に伝えられなければ理解できない。結果として、無難で一般的な回答しか提供できない。
技術的な説明は省くが、ChatGPTは膨大な文章を学習し、指示に基づいて最も可能性の高い答えを生成するAIツールだ。この点を理解することが、ChatGPTをはじめとした生成AIを効果的に使うための出発点になる。
ChatGPTに良い仕事をさせるには、明確で具体的な指示が必要だ。この点を理解せず、大ざっぱな指示を出して一般的な回答しか得られないケースが多い。この指示のことを「プロンプト」と呼び、生成AIの能力を最大限に引き出すためには、効果的なプロンプトが欠かせない。
次に、実際の演習を通じて、効果的なプロンプトの作成方法を学んでいく。
図1 指示(プロンプト)の例