自治会の成り立ち
自治会の成り立ちには江戸時代に組織された「五人組」を起源とする説、すなわち役人が設定し、住民同士の監視機能や連帯責任などを負わせたことから始まる説など諸説ありますが、いずれも相互扶助的な役割を担っていたことがうかがえます。
日中戦争の頃には全国各地に組織されており、それを国の体制として組み込んだのが1940年の「部落会町内会等整備要領」(内務省訓令17号)でした。「市町村ノ補助的下部組織トスル」という戦時下の発令は、相互共助の自治組織としてではなく、国策遂行のための政府機関の下部組織として正式に位置付けられました。つまり、御上が設置し、つくらなければいけない組織となったのです。
その後、第二次世界大戦の敗戦で、御上が組織したものであるためにGHQにより解体されました。しかし、当時は特に助け合いが必要な時代であったことも手伝い、自然発生的に水面下で再建され、サンフランシスコ講和条約(1951年)以降は、正式にまた認められたというのが通説です。この昔は御上が設置したという経緯が色濃く残る現在70歳前後の人は、「自治会は入るべきもの」との意識が強く、戦後生まれの60歳前後の人は「任意加入」の意識が強い傾向が見られ、トラブルとなるケースも見られます。
自治会の定義と、特徴から見る自治会の役割
総務省の地域コミュニティに関する研究会によると、自治会・町内会は、地方自治法260条の2第1項に定められた「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(自治会、町内会、町会、部落会、区会、区など)」と定義されています。
また、地域によって差はあるものの、組織が全国自治会連合会を長とするヒエラルキー構造であり、①加入単位が世帯である「世帯単位制」、②地域内に単体で組織されている「地域占拠制」、③半強制的に加入が促される「全世帯加入制」、④地域生活に関わる包括的な活動を担う「包括機能」、⑤行政の末端機能を担う「行政の末端機構」の5点が大きな特徴となっています(1)。
自治会活動というと、表の「単位自治会」の部分が主となり、その役割と前述の特徴は連動しています。
表 特徴別に見た(単位)自治会の役割