2 めぶくEYEとは
このアイデアは、「景色が聴こえる」をテーマに、視覚障がい者が安価で簡単に支援を受けられる自助の仕組みと、視覚障がい者への支援の輪を広げる共助の仕組み双方を構築するというものである。このテーマ「景色が聴こえる」は、夏のDigi田甲子園応募に当たり、本市のデジタルグリーンシティ推進のアーキテクトの一人である谷川じゅんじ氏(JTQ株式会社代表、スペースコンポーザー)にネーミングしていただき、多くの人の心に響くものとなった。この場を借りて改めて感謝申し上げたい。
自助の仕組みとしては、視覚障がい者の歩行を、スマートフォン、AI技術、低遅延モバイル通信の活用によりサポートする。身に着けたスマートフォンのカメラを入力装置として使い、カメラの視界をクラウド上のAI技術で画像認識し、障害物等の情報をスマートフォンから音声で伝えることで、「景色が聴こえる」歩行を実現する(図1)。
図1 「めぶくEYE」イメージ図
次に、共助の仕組みとしては、「手伝ってほしい、助けてほしい」と「役に立ちたい、助けたい」の二つの思いをリアルタイムでマッチングし、危険な状況の改善や有意義な情報の共有を促進。このマッチングのベースとなるのが、「共助ポイントプラットフォーム」である。このプラットフォームは、他のサービスと連携することで、行政や市民同士の交流も促進し、視覚障がい者支援の輪も広がることが期待される。また、視覚障がい者自身も支援者としてこのプラットフォームに参加することができ、自らの体験データを提供することで安全安心なまちづくりや共助に貢献できるというものである。
めぶくEYEは、視覚障がい者と健常者、地域をつなぐツールとなり、新しい形の視覚障がい者支援を提供できるものである。また、データ連携基盤を通じて様々なサービスとの連携も可能となり、まさに共助のまちづくりのモデルになることを目指して取り組むものである。
この取組アイデアが多くの方に評価され、前述のとおり優勝することができた。様々な関係者の思いが結集したアイデアだからこそ、この結果につながったのだと考えている。