長野県富士見町総務課文書情報係
戦後の復興により生活の近代化が進む中、長野県富士見町では、町制発足の翌年となる昭和31年に、農協を母体とした有線放送電話事業が始まった。
昭和34年には国から事業認可を受けた町が事業を引き継ぎ、定額で使える電話機としての利用のほか、1日4回の定時放送、各自治区からのお知らせ、消防署、交番からの緊急放送、小中学校からのお知らせなどの放送配信にも利用された。
有線放送電話受信機
日本の家庭における固定電話の普及率が昭和30年でわずか1%、昭和47年の段階でも30%程度しかなかった時代に、町の有線放送電話の加入率は80%を超え、住民同士の交流や町内の情報伝達に欠かせないものとなった。
住民の必需品として生活の一部となっていた有線放送電話であったが、家庭用電話や携帯電話の普及によりその社会的役割を終え、平成19年にはついに廃止が決定した。
同年からは電話機能を持たない、放送に特化した告知放送システムの運用が始まり、現在でもこれまでどおりの放送内容で配信が行われている。
告知放送システム受信機
有線放送電話では、回線、電柱等の通信インフラも町が構築、整備していたが、経費や維持管理の手間が大きな負担となっていた。このことから新しい告知放送システムでは、町内ほとんどのエリアを網羅する地元ケーブルテレビの回線を借用利用することとし、既存の回線、電柱等は撤去(一部は自治区へ譲渡)した。
回線、電柱の撤去作業