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2022.04.25 ICT活用・DX

鳥取市議会~手話や字幕中継の試行~

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試行方法

 議会改革検討委員会から議長への提言をもとに、議会運営委員会での協議を経て、令和4年2月定例会の全日程において、次の3種の試行を行った。

① ケーブルテレビへの手話通訳表示
 鳥取県聴覚障害者協会から手話通訳者の派遣を受け、議会中継の編集を行っているモニター室内に配置、本会議全日程の手話通訳付き中継映像を作成した。
 今般の試行においては、発言通告項目や当日配布資料、議事や一般質問の進行方法、中継画面の構成やテロップ位置など、全て従前のとおりで実施した。
 手話通訳者の配置と画面上のレイアウトについては、背景色や着衣色から見えやすさ、また照明による影の出方などから立ち位置を調整するなどを何通りも行い、伝わりやすさを検証した。

② インターネットへの字幕付与
 音声変換ソフトウェアを使って作成したAI変換字幕機器システムをケーブルテレビ局に配置し、インターネット議会中継に字幕を付与した映像を作成した。

③ 傍聴席へのモニター字幕表示
 傍聴席に設置した二つのモニター画面に、一つにはケーブルテレビ中継と同様の中継画像を、もう一つにはAIシステムで生成した字幕を表示した。
 字幕の見え方を検証するため、日によって文字やふりがなの大きさや色、背景色などを変えるなどした。
 関係団体の協力のもと、計9日間の本会議期間中には、難聴者だけでなく、要約筆記などの難聴者支援の活動をしている方にも字幕付きの議会傍聴を体験していただくことができた。

今後の取組み

 今後は、定例会中に作成した①ケーブルテレビ向けの手話通訳付き中継映像、②インターネット向けの字幕付き中継映像の視聴会を開催して、できるだけ多くの聞こえない方、聞こえにくい方、支援の活動をしている方からの意見集約を行っていく予定としている。議員と執行部からも同様に意見集約し、導入に向けた調整を進めていく。
 今回の試行で注力した点は、準備段階から聞こえない方、聞こえにくい方と、支援活動をしている方の意見を伺いながら取組みを進めたことである。議会定例会での活用を前提とした試行ではあるが、字幕については、鳥取市が行う様々な場面での活用に資するものとなるよう、機材導入のあり方なども検討に含めている。

結びに

 今回の試行は、障がい者団体や手話通訳者をはじめ、多くの方の協力・指導により実現した。加えて、市政記者をはじめとする多くの報道関係者にも取材をしていただき、情報伝達のあり方について一人でも多くの市民が考えることにつながった。ここに深く謝意を表したい。
 今回の字幕視聴に参加された、ある聴覚障がい者の方からは、笑顔で「これまで市行政のことについて知りたくても分からないことが多く、興味がなかった。どんな鳥取市になるか、私たちも一緒に考えていいんですね」との感想をいただいた。今般の取組みはようやく緒に就いた段階ではあるが、誰一人取り残されることなく尊重される社会を目指す、開かれた議会への更なる一歩を重ねていかなければならないとの思いを強くしているところである。

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