鳥取市議会基本条例
この条例は、鳥取市議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員に関する基本的事項を定め、議会活動の活性化と市民に開かれた議会の実現を図ることにより、市民福祉の増進と市政の発展に寄与することを目的としている。議会活動の原則として「市民に開かれた議会とするため、情報公開及び市民参加を促進すること」、「市民に親しまれる議会とするため、わかりやすい言葉、方法で説明責任を果たすこと」等を定めている。
開かれた議会とするため、市民の意見・識見の反映、市民との情報共有など、議会活動への市民参加について定めた条項では、「議会は、積極的に情報発信し、より多くの市民との情報共有に努めるものとする」と定めている。本市議会では、市議会だよりや議会ホームページへの会議日程の掲載やケーブルテレビとインターネットによる本会議中継、インターネットによる会議録の公開など、議会活動に関する情報公開を進めており、議会活動に対し、より多くの市民が関心を持ち、透明性の高い議会とするため、今後も情報公開を積極的に進めることとしている。
議会中継の経過と傍聴席の取扱い
平成6年3月定例会からケーブルテレビによる議会中継を開始した。放送対象は、開始当初は定例会の一般質問と当初予算の提案説明に限られていたが、平成26年6月定例会から放送対象を定例会及び臨時会の本会議全日程とし、ケーブルテレビに加えてインターネットでも放送を開始した。平成29年2月定例会からスマートフォン・タブレットによる視聴も可能とした。
現在、ケーブルテレビでは定例会は生中継と当日夕方に再放送を、臨時会は当日夕方の放送のみ、インターネットでは定例会は生中継と後日録画での配信、臨時会は後日録画での配信を行っている。
傍聴は、個人の場合は申込みを必要としないが、手話や字幕を必要とされる方については、通訳者派遣を鳥取県聴覚障害者協会に依頼するため、約2週間前を目途に申し込みいただくこととしている。
取組みの経緯
令和元年度に新庁舎への移転を行い、現在、市議会は本庁舎7階フロアの全面を使用している。議場設備はバリアフリー化されており、スロープや車椅子席、親子傍聴席として独立スペースを設けている。併せて、聞こえにくい人が議事を正確に聞き取ることができるように、ヒアリングループも整備しているほか、議会中継に手話通訳を配置するための部屋も整えている。聴覚障がい者に対する情報保障についても以前から協議を行ってきたが、手話や字幕の付与に関してはこれまで実現に至っていなかった。
令和3年4月、議長から議会改革検討委員会に対し「TV中継への手話通訳の配置等について」諮問がなされた。背景には、従来の議会内での協議検討のほか、障がい者団体からの要望、同月の市長定例会見から手話通訳を配置したことなどがあり、手話をはじめ、AI字幕など様々な伝達方法について検討することとなった。
委員会では、手話通訳と字幕の情報伝達方法について他自治体での実施状況を調査するなどの調査研究を行いながら検討を重ねた。その間、令和3年5月には三つの聴覚障がい者団体から連名で要望書が提出された。最終的に、令和3年12月、議長に対し、聴覚障がい者への情報保障は重要との認識で一致したこと、実施可能なものから着手し、課題が出れば引き続き検討する方向で改革を進めるべきであること、手話通訳・字幕とも、配置を前提に、試行期間を設けて、正確な情報発信のため、通訳者と議会の求める要件の一致点を見いだすことが必要との結論に至ったことを提言した。