議会改革には「議会事務局のチカラ」が必要
このように、備える側とそれを受け入れる側が相まって、物事が進む──議会改革の可能性が広がっているといえます。墨田区の議会基本条例には「議会事務局は議会に対し提案を行うことができる」とうたわれたことで、チーム議会としての体制が評価され、2020年のマニフェスト大賞「優秀賞」を受賞しています。「議会事務局のチカラ」というのが議会改革において必要な要素として認められてきていることの現れではないでしょうか。取手市議会の基本条例等には、そのような文言は見つかりません。しかし土壌として「提案する」、「意見を聞く」ということができ上がっているように思います。先の基本条例の条文見直し論議の中でも、「議員の評価」と「事務局の評価」を同じテーブルに乗せて、「議会事務局職員も交えて討議していきます」と委員長が述べ、議会運営委員会を進行しました。
様々な議会改革を推し進める取手市議会。試行しては立ち止まり、また試行する。思いついて試せるものは試してみる。提案をし、それが受け入れられる──。そのような信頼関係はすぐに生まれたわけではありません。期待に応えながら、それ以上の備えをすることででき上がっていったものだと思います。事務局の部屋には「議会愛」という局訓が掲げられています。いうまでもなく議員は、選挙でたくさんの住民からの票を集めてそこにいます。つまり我々議会事務局側から見ると、議員の向こうに何万という市民がいることに。「議会の中に住民がいる。住民の中に議会がある」。これは議会事務局在籍が長い職員が考えた言葉で、議会愛の原動力となるモットーとなっています。
様々な改革を示す。その先に市民の利益・関心が待っていたか。結果はいつ出るのか。動き続けることで見えてくる結果もあると思います。それを実現するために重要なこと──議員活動で見えてくることがあるように、事務局職員だから見えてくることもたくさんあります。議会改革を進めるに当たって、「風通し」という言葉も聞きますが、「2か所」の窓を開けないと風は部屋を通り抜けられないのです──議員と、事務局と。双方が議会愛を持って考えをぶつけ合う、そこに何かが生まれると思います。
さて、冒頭で例示した陳情ですが、結果は賛成4、反対19、賛成少数で不採択となりました。賛成者がゼロでないところが現実ということで……。