取手市議会事務局
「議会事務局の発議、発言の差し止めを求める……」。こんな陳情が出された議会事務局をご存じでしょうか。これにはいくつかの誤解が含まれていたのではないかと思います。しかし、このような陳情が提出されて審査・審議されたことは事実なのです。
取手市議会における議会改革
さて、取手市議会で実施されてきた議会改革について、最近の事例を中心にいくつかご紹介したいと思います。
① 前年度重点事業の見直しから次年度予算編成へ生かす
市の約200の重点事業を再評価し、その中から市の課題を抽出して次年度予算へ生かせるよう一般会計決算・予算審査特別委員会を設置して調査しています。
② デモテック宣言
ICTのテクノロジーを活用して新しい民主主義の手法構築を目指すものです。民間事業者や大学など4者で提携し、タブレット端末やAI技術などを積極的に取り入れるほか、将来のオンライン本会議実現へ向けた未来の会議規則の調査などを行っています。
③ 中学校との協働事業
生徒の社会科公民・総合学習の授業の一環として、まちをよくするためのアイデアの討議を、中学生議員として市議会議員と一緒に議場で討論して採決。ICTを活用して、学校に残った生徒と代表生徒がいる市議会議場でリアルタイムに会議が進むという近未来の議会を通じて、交流を図っています。
④ 本会議での討論を3回まで実施
原則として討論は1回、といわれていますが、「~で反対」、「~だから賛成」というのを聞いているだけだと、「ふーん。そうだね、確かに」ぐらいで終わっていたものが、「先ほどの反対討論を聞いて反論します」と始まると、「おっ、何か討議が始まったぞ」感がかなり出ます。議論を尽くすため、というのが目的ですが、聞いている方も非常に興味深く議論を見守るようになります。
⑤ 市民と協働でつくる会議録
AI音声認識を用いた音声からの文字起こしを平成22年から行っていますが、これをウェブ上で共有しながら会議録の初稿作成を市民と事務局が協働で行っていくことで、議会に参加し関心を高めてもらうことができます。令和3年8月に初実施しました。
⑥ 360度カメラによる委員会中継
コロナ禍で議会傍聴もはばかられる時期に、それまで議場からの映像配信しかしていませんでしたが、会議室の委員会も、映像配信の中継を始めました。しかし、一方的な配信が傍聴の補完にはなり得ないという指摘や、オンライン委員会に参加している議員から「会議室の様子がよく分からない」などの課題が出されていました。その解決策として、好きな視聴角度を配信視聴者が選べる360度カメラを部屋の中心に設置して、委員会中継を始めました。