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特集 ポストコロナ時代の地方議会

2020.10.12 コロナ対応

ポストコロナ、ウィズコロナ時代の選挙戦

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選挙プランナー 三浦博史

 新型コロナウイルスは、いまだ収束せず、国民の暮らし、社会経済活動に大きな影響を及ぼしている。
 一方で、選挙戦は統一地方選挙を目前に控えた東日本大震災(2011年3月)の際は、「平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」(平成23年3月22日法律2号)が制定され、被災地(岩手県・宮城県・福島県・茨城県)内の自治体の選挙期日が最大9月22日まで延期されることとなったが、今回の新型コロナウイルスについては、4月の「緊急事態宣言」下(4月7日〜5月25日)に実施された衆議院補欠選挙(静岡4区)をはじめ、7月の東京都知事選挙等、予定どおり実施されており、心配された投票率の大きな落ち込みも見られない(下表参照)。
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表 コロナ禍における主な選挙戦投票率

 しかし、これを契機に、今後の選挙戦術はいや応なしに変更せざるをえなくなってきた。もちろん、「地上戦」の基本が変わることはないものの、「三密の回避」や「ソーシャルディスタンス」により、従前型の選挙戦から、“リモート”や“SNS”を駆使した新しい戦術が大きく取り入れられるようになることは必須だ。
 そうした状況下において、今年4月以降の選挙戦術で、何が、どのように変化してきたのかを検証してみた。当面は、感染状況等を注視しながら、様々な試行錯誤が行われるものと思われるが、おそらく、もう元には戻れない戦術も出てくるものと思われる。
 以下、新型コロナウイルス感染症に対応した、最新の選挙事情についてまとめてみた。

とにかく当面は「三密」を避けた活動に徹する

《告示前の活動》
 戸別訪問は公職選挙法で禁止されている。そして、そもそも、支援者拡大のために有権者宅をアポなしで訪問すること(特にインターフォンを鳴らす等の行為)は、突然、訪問される側にとって迷惑な話だ。
 選挙の基本は、有権者に直接会い、話し、握手することだが、このご時世では、感染防止の意味で、突然の訪問は避けるべきだ。
 では、候補者サイドとしては、何を、どうすればよいのか。支援者等のメールアドレスを持っている場合は、メールマガジンの活用により、支援者向けの情報発信ができるものの、地方選でメールマガジンはまだなじまないと思われる。

(1)電話作戦
 訪問に代わる手法として最も効果的な手法が、候補者本人からの直接電話だ。リストに優先順位を付けた上で、親族や支援者から紹介された人の固定電話や携帯電話に、とにかく電話をかけまくり、直接コミュニケーションを図ることだ。
 次は、親族・親戚、事務所関係者、主要な支援者(後援会幹部等)に、各自の友人・知人、会社関係者等に対し、電話がけをしてもらい、一人でも多くの支援者を増やすことだ。ただし、告示前は「選挙運動」ができないため、「後援会への入会勧誘」として電話をしてもらうことが基本だ。

(2)街頭活動
 選挙は「知名度」と「認識度」の向上を図ることが大切だ。“生の候補者”をいかにして、一人でも多くの有権者の前に露出するかが鍵となる。
 したがって、朝や夕方の通勤時間帯に駅頭や街頭に立ったり、スーパー、コンビニの前や、幹線道路や交差点等で手振り等を行い、有権者に、まず顔と名前を知ってもらうことが必勝の鍵となる。

(3)オフィシャルサイト・SNS
 今では、ほとんどの候補者(政治家)が、オフィシャルサイト、ブログ、Twitter、Facebook、Instagram等のいずれかのツールを活用しているものの、それらを積極的に活用している人はごくわずかで、多くは時々更新する程度か、中には何年もの間、更新が止まっているケースも散見される。
 地方選挙において、「SNSで勝った」ということはなくても、「SNSを軽視したために一票に泣いた」ということは大いに起こりうる。たとえアクセスする人が少なくても、身の丈に合った活用をすることで、一票につながることはあると考えるべきだ。

(4)ポスティング
 本来なら、街頭や駅頭、事務所等でのビラやリーフレットの頒布は必須だったが、現状ではいや応なしに活動が制限されてくる。
 それを補完するために、例えば後援会や政治団体の政治活動政策ビラ等を作成し、(全戸)ポスティングにより有権者のポストに投函する。じっくりと読む人は少ないものの、少なくともポストからゴミ箱に行くまでに、誰のビラかぐらいは確認されるため、有権者に顔と名前を覚えてもらう手法として有効だ。
 

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