5 工夫
Facebookの強みとして「インサイト」という機能がある。これは事業者として登録すると無料で利用できる機能で、そのアカウントの「いいね!」の数や「閲覧者」数の推移、閲覧者の年齢別・男女別の割合などの様々なデータを無料で確認することができる。これにより、例えば、稚内市議会のFacebookの閲覧者の9割は男性で、世代は主に20歳〜50歳、動画を掲載した記事の方が文章だけの記事や写真を載せた記事よりも閲覧者数が増える傾向にあるといったことが一目で分かるようになっており、どういった記事が注目されているかなどを調べることで市民ニーズの調査にも活用できる。
図2 インサイトのページ
また、動画を張り付けた記事のアクセス数が、その他の記事と比べて格段に増加したことを踏まえ、無料の自動動画編集ソフトを活用し、作成した動画を掲載するなど新たな試みも行っている。
その他には、稚内市議会では、本会議、特別委員会、常任委員会の映像配信をYouTubeで行っており、Facebookで会議日程をお知らせする際には、配信ページのURLの張り付けを行い、簡単に中継を見られるような工夫も行っている。
閲覧者数を増やす取組みとしては、現在ではSNSを活用することは当たり前になり、個々の議員がそれぞれのFacebookで議会活動等を発信するケースも増えてきている。そこで、議員にはそれぞれ支援者など多くのフォロワーがいることに注目し、気になる記事を それぞれの議員のFacebookと共有することにした。そして、各議員のフォロワーのタイムラインにも記事が掲載される「シェア」機能を活用することで、さらに多くの人に議会ページの記事を見てもらえるよう議員との連携も行っている。実際にシェアしてもらった記事では、閲覧者数が2倍~3倍になるといった結果も出ている。
6 課題
アカウント開設以来、継続した情報発信を続けているが、記事の内容に真新しさがなくなりマンネリ化してきている実情がある。新たな取組みを行おうにも、市議会のFacebookである以上、あまり突飛(とっぴ)な内容にすることもできない。
また、インサイトを利用することで、議会のFacebookを見ていない世代、性別などははっきりと分かるのだが、どうすればそういった人たちに見てもらえるようになるかについて、なかなかいいアイデアが思い浮かばないのが現状であり、今後も検討を続けていく必要がある。
7 おわりに
様々に変化し続ける世の中の動きに合わせ、市民のニーズも多種多様に変化している中で、議会も議会改革を進め、議会の役割や活動について、市民に広く情報を発信していくことが以前にも増して重要視されている。Facebookについても、これを行うことで広報は全て解決するといったツールではなく、あくまでも種々取り組む広報手段の一つとして、ゼロ予算で行えるということが強みであり、当然、これまでと同様にFacebook以外の議会広報紙、議会のネット中継など様々な方法で議会広報を続けていくことが必要であると考える。
今後においても、どのような手法で伝えていくのかを研究し、新たな取組みを実践していくことが重要である。