編集部 話し合いは時に空中戦になりがちで、白熱した議論の末、結局何が決まったの??ということも往々にしてあると聞きます。「見える化」の工夫は大事ですよね。他にはどんなものがありますか。
岩﨑 平成30年5月に開催した「女性議員による意見交換会」や「教育関係者との意見交換会」などでは、「ジャッジタイム&ワールドカフェ方式」を用いて課題解決に向けた対話を行いました。ワールドカフェ方式に関しては、私が個人的に参加した研修で青森中央学院大学の佐藤淳先生から教えを受け、その手法を当市議会でも用いさせていただきました。佐藤先生には、当市議会に講師としてお越し頂き、議員研修会においてご講演もいただいたところです。
女性議員による意見交換会の様子
編集部 岩﨑さんのお話をお伺いしていますと、議会運営のサポートをすることとなる議会事務局職員にこそ、ファシリテーションの技術の習得は有益だと思われますが、職員内での研修などは行っていますか。
岩﨑 そうですね。当市議会では、ファシリテーションの部分は、議会事務局職員が担うことがほとんどなので、私個人としては、様々な研修に積極的に参加しています。そして、研修で得てきたものを基にして議会事務局内の研修を行っています。職員の中にも向き、不向きはありますが、経験を通じてファシリテーション力の向上を図っています。それから、当市議会事務局では、議会運営委員会などに対して改革メニューを提案するために「事務局内討議・対話」をしばしば行っています。その際の進行役は事務局職員が交代で務めているのですが、そうした場も恰好のファシリテーション技術の育成、向上の場となっています。
余談で……ファシリテーション技術の向上の視点ではないのですが、定例会前には議案勉強会も事務局内で実施しています。この職員同士の質疑応答が、非常に議案や市の動きの理解度が深まるとともに、議案や条例の見方の勉強にもなっています。
編集部 事務局内でも自由討議が行われているとういうことですね。
岩﨑 はい。私だけが出来るということでなく、事務局全体での定着を目指しています。例えば私が、意見報告会の当日に会場に万が一行けなくなる、といった場合に、私しかファシリテーションを出来ないということになってしまうと、ファシリテーター不在により、会が有意義なものでなくなってしまう恐れがあります。現実に、私が進行する予定であった教育関係者と総務文教常任委員との意見交換会時に、 急遽、当日になって投票事務を⾏わなければならない事態が発⽣したことがあったんですよ。この時には、他の事務局職員が進⾏役を務め、会は成功裏に終わりました。
編集部 それは素晴らしいですね。日頃から技術の継承ということを徹底されているからこそですね。ところで岩﨑さんは、取手市議会内だけでなく、各種団体や他市町の議員研修会などでも講師としてファシリテーションされたり、視察受け入れによってもその技術を発揮されていますよね?
岩﨑 本当にお声かけいただいたり、取手市議会においでいただき、ありがたいです。さまざまな目的でのご依頼をいただきますが、最近は、「議会内を少しでもワンチームにしたい」といったご依頼が増えてますね。
なので、その目的を達成するための仕掛けを入れると、研修後のアンケートには「隣に座っている議員だったけど、こんな一面があったのは気づかなかった」みたいなものもあり、楽しく行わさせていただいています。
また、宿泊で取手市議会に2日間の視察研修でお越しいただいた際は、取手市議とのコラボも取り入れて、両自治体議会にとって有意義なものとなっています。
2019年視察来庁された伊万里市議と、取手市議による視察対応の様子