3 伊万里市民図書館
翻って、筆者が議員になるきっかけが図書館づくり運動であり、その果実である図書館について触れるのは少々面映ゆいが、上記の事情からお許しをいただきたい。市民図書館ができるまでの経緯などはHPをご参照いただきたいが、特に3点について紹介する。
(1)図書館設置条例
多くの自治体では、公立図書館の設置目的を「図書館法第10条の規定に基づき、〇〇市立図書館を設置する」などとしている。では、図書館法10条には何が書かれているか? そこには「公立図書館の設置に関する事項は、当該図書館を設置する地方公共団体の条例で定めなければならない」とあるにすぎず、これでは条例としての意味をなさない。
一方、伊万里市民図書館設置条例1条では「伊万里市は、すべての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため、自由で公平な資料と情報を提供する生涯学習の拠点として、伊万里市民図書館……を設置する」としており、「地方自治の発展を促すため」と明確にうたっている。文中にある「すべての市民」の中には、当然ながら議員も含まれている。
図書館視察に来られた数多くの自治体議会の中で、この条例に注目された東京都墨田区議会の区民文教委員会は、議員提案で既存条例を改正された。トンデモ視察として物議を醸す例もあるが、当該視察は目に見える形で成果を出され、対応した側としてもうれしい限りである。まずはお住まいの自治体の図書館設置条例のチェックから始めることをお勧めしたい。
なお、伊万里市民図書館設置条例1条は、図書館入口を入ってすぐの壁面に「図書館の自由に関する宣言」とともに掲示され、常に利用者を見守っている。
写真3 利用者を迎える「図書館の自由に関する宣言」と「伊万里市民図書館設置条例第1条」。