田原市議会事務局議事課 鋤柄沙織
田原市中央図書館司書 七原千紘
田原市・田原市議会の概要
田原市は、愛知県の南端に位置し、渥美半島のほぼ全域が市域となっている。北は風光明媚(めいび)な三河湾、南は雄大な太平洋に面し、東は豊橋市に接し、西は伊勢志摩(三重県)を望み、生物多様性に富んだ自然環境豊かな地域である。
行政面積は約191.12平方キロメートルで、令和元年11月30日現在の人口は、約6万2,000人でここ数年減少傾向となっている。
田原市議会議員は18人。常任委員会は、総務産業(9人)、文教厚生(9人)、予算決算(17人)の3委員会。ほかに議会運営委員会(7人)、広報広聴委員会(8人)がある。田原市議会は、議会基本条例(平成22年12月20日施行)に基づき、議会改革に積極的に取り組んでいる。特に、議会ICT化では、会議へのタブレット端末の持ち込みやグループウェアシステムの導入など、ICTの活用による効果的かつ効率的な議会活動を行っている。さらに議会広報活動においても、議会中継のマルチデバイス化を実施し、ケーブルテレビやパソコンからのみならず、スマートフォンやタブレット端末からも議会中継を視聴可能とし、市民が容易に議会情報を得られる環境を整えている。
議会図書室改革のきっかけ
(1)改革前の議会図書室
議会図書室は、平成19年に新庁舎を建設した際に設置。本棚には、計画書や予算・決算書、法律や議会に関する資料が順次収められた。管理は、議会事務局職員6人のうちの1人が他業務との兼務で担当していたが、議会図書室に関する業務の優先度は必ずしも高いとはいえない状況であり、議会図書室は「資料のある会議室」だった。
議会図書室が図書室として活用されていない状況を改善したいと考えていた折、平成26年11月に「議会改革に関する報告書」がまとまったことや平成27年2月に市議会議員の改選を控えていたことを好機と捉え、平成26年12月、市中央図書館に対し議会図書室の充実を図ることを目的として蔵書の整理方法等を相談するに至った。
(2)具体的な整備
相談した中央図書館からの協力は、助言だけではなく、連携担当となる図書館司書1人を選任の上、資料の整理等に2人の図書館司書を派遣してくれた。議員活動をサポートできる図書室とすることを目的に、既存の資料の整理や図書室の整備を行い、図書室機能の向上を図った。
ア 資料の整理
蔵書は、必要な資料と不要な資料、買い替える資料に分類し、重複する郷土資料や不要な資料は図書館に寄贈し、雑誌類は保存年限を定めるなどして整理した。
イ 図書室の整備
資料の整理後、内容別に「総務産業委員会」、「文教厚生委員会」、「議会」、「議会改革」、「行政」、「財政」などの大項目の分類で分け、それぞれの見出し板をつくって、どこに何があるか分かりやすくした。また、図書館からの助言を受けて、書棚の空いたスペースに資料の表紙が見えるように展示し、資料が手にとりやすくなるような工夫も施した。
棚のレイアウトにおいては、出入口近くの棚に雑誌を置き、面出しした新着本や時事ネタ本を並べ、奥の棚に町史や広報誌、計画書等を置いた。