8 課題
司書は1人なため課題は多くあるが、特に重要と考える課題が二つある。一つは、市政課題について「土地勘」を得るための勉強が常に必要であるということ。司書を配属した当初は、レファレンスサービスへの要求水準や内容に非常に当惑することもあった。また、多忙な議員からの依頼は急なことが多く、かつ即時対応を求められることもあり、議会の審議案件や議会運営等、実務に関する基礎知識を身につけていなければ、即時対応どころか議員の意図をつかむことすら困難となり、結果としてレファレンス自体行うことも困難になるからだ。しかし、この「土地勘」づくりによって自分の守備範囲でなかった世界を知ることができたため、レファレンスサービスや業務の幅を広げることができた。日々研さんしていくことが重要だと考えている。
もう一つは、人件費も図書購入費も限られているため、大学などの大規模図書館からの協力が欠かせないことである。また、他館の司書とのコミュニケーションも重要である。司書が1人なので、調べ方や調べる内容・方向性、癖など、いくら気をつけていても大なり小なり偏りが出てくる。様々な角度から情報提供を行うためには、自分以外の司書の調べ方やアドバイスを参考にすることも重要と考える。そのため、多くの図書館と協力関係をつくっていくことが重要である。
9 展望
議員の調査や質問、分析を議会図書室がサポートすることは、議会での議論の質を高め、呉市にとって未来を明るくするような政策につながる。良い政策ができれば、呉市の明るい未来につながり、ひいては市民の笑顔にもつながる。呉市の政策づくりのあり方が変わるそのきっかけの一つとしての議会図書室という「知的拠点」を目指し、今後さらなる進化をしていきたい。