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特集 シティプロモーション

2019.10.25 まちづくり・地域づくり

シティプロモーション政策の定量化

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mGAPの算式

 さて、話を戻そう。mGAPを計算する算式である。①と④についてはすでに述べた。②については、①と④で行った「あなたが自ら住む地域を知人友人に推奨する意欲はどの程度ありますか」という設問に代えて「あなたは地域をよりよくするために参加する意欲がどの程度ありますか」と尋ねる。③についての設問は、「あなたは地域をよりよくするために働いている人に感謝する意欲はどの程度ありますか」になる。いずれも選択肢は10から0であり、積極的な意欲を持つ10・9・8の比率から、消極的な5以下の比率をマイナスし、人口を掛け算することは同様である。
 例えば、②の地域参加意欲指数がマイナス5、③の地域感謝意欲指数がプラス40であるとすれば、それそれの意欲量は、①と同じ人口5万人に乗じて、②はマイナス25、③はプラス200ということになる。
 ここでも興味深いことがある。単に人口が多いことが価値ではないということが数字によっても明確になることだ。先に例示したように、地域参加意欲指数がマイナス5の場合、人口が5万人であればマイナス25にとどまるが、人口が20万人の場合は20掛けるマイナス5で、地域参加意欲量はマイナス100に上る。このことは、人口が多くても、自らは参加せず、地域のサービスだけを利用するフリーライダーが多いことが地域にとって負担となることを示している。
 さて、こうして求めた①から④までの意欲量をすべて足し算することで、mGAP(修正地域参画総量指標)は求められる。
 この指標値を毎年、あるいはモニター等を利用してより頻繁に、アンケート等を利用して計測することで、シティプロモーション政策の成否に係る定量化が可能になる。

数値化したものを生かすには

 もちろん、この数字は他地域との比較のために用いるものではない。それぞれの地域の特性によって数字の意味は異なる。むしろ、この数字を常に向上させることが求められる。ある年にプラス165であったのであれば、翌年は165をわずかでも上回ることができたなら、そのまちのシティプロモーションは成功していることになる。
 また、その内訳としての地域住民の地域推奨意欲指数、地域参加意欲指数、地域感謝意欲指数、地域外ターゲットの地域推奨意欲指数、地域の定住人口、地域外ターゲットの設定人口という六つの項目のどの項目が増加し、どの項目が減少したかを十分に確認することで、次に打つ手も定めることができる。
 もしも、定住人口は微増していても、地域推奨意欲指数や地域参加意欲指数が大きく減少しているのであれば、地域内へのインターナルプロモーションを積極的に進めなければならない。一方で、地域住民の各意欲は増加しているにもかかわらず、地域外ターゲットからの地域推奨意欲指数に増加が見られないのであれば、より積極的に地域の認知を図り、ターゲットの関心を惹起(じゃっき)する取組みが求められることになる。
 さらに詳細に分析することもできる。地域推奨意欲のアンケートで、7点という値を付けているのは、どのような年齢層、性別の人なのか、5点という値を選択したのは、どのような職業の人なのか、どの地域に住んでいる人なのかということを確認する。これによって、どこにプロモーション施策を集中させるかを明確にすることも可能になる。
 シティプロモーションの成否は常に定量化して示されなければならない。その点を常に執行部に要求することが、議会として施策のアカウンタビリティを果たさせることになると考えている。

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