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特集 シティプロモーション

2019.10.25 まちづくり・地域づくり

シティプロモーション政策の定量化

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東海大学文学部広報メディア学科教授 河井孝仁

 

四つの土台を測るには

 シティプロモーションという言葉が「地域を持続的に発展させるために、地域の魅力を創出して地域内外に効果的に訴求し、それにより人材・物財・資金・情報などの資源を地域内部で活用可能としていくこと」を意味することは、本特集の初回(2019年9月10日号)ですでに述べた。
 また、ここで最も必要な資源は、人材であり、そうした人々の地域に関与する意欲であることも示した。さらに、筆者が、地域を担う意欲の定量化手法として「修正地域参画総量指標」(mGAP)を提起していることも述べた。
 今回は、mGAPの具体的な説明や活用方法について考えていきたい。mGAPを考える際に複雑な数学は必要ない。掛け算と足し算という算数で足りる(図1)。
図1

図1

 
 何を掛け算するのか。人口と意欲である。この人口と意欲を掛けることで、地域にとっての「熱を持ったしなやかな『各種土台』の厚み」である「意欲量」を測ることができる。何を足し算するのか。今述べた「各種土台」を足していくことになる。土台には四つの種類がある。①地域住民による地域の推奨意欲量、②地域住民による地域への参加意欲量、③地域住民による地域への感謝意欲量、④地域外住民による地域の推奨意欲量の四つである。
 この「熱を持ったしなやかな土台の厚み」が、地域の「稼ぐ力」の可能性に関わっている。この点については後ほど述べる。

地域外住民の数え方

 まず、計算式の左項に当たる「人口」について考えていこう。前記①から③の人口はいわゆる定住人口である。この数字は容易に数えられる。次に④の地域外住民の数はどのように数えればよいか。ここで必要な発想が、セグメントとターゲティングという考え方である。セグメントとは「区分」という意味を持つ。
 地域外へのシティプロモーションにおいて、日本中、世界中の人々を対象にして考えることは費用対効果から無駄が多い。地域外の人々を「区分」した上で、区分した人々に限定して、地域への共感・推奨を獲得しようという発想である。
 そのためには、それぞれの地域における差別的優位性(ブランド)を持ったライフスタイルやステイ(滞在)スタイルをストーリー(物語)として確立することが求められる。「都市的生活を送るには十分ではないが、自然を満喫しながら暮らすことができる」ライフスタイルを示すストーリーや、「生産地が近いのでおいしい食事ができ、美しい雪景色を楽しめる」ステイスタイルを示すストーリーが必要になる。
 その上で、それぞれの地域の方向性によって、デモグラフィック(人口学的な)特性及びジオグラフィック(地理的な)特性により対象を定め、地域のライフスタイルやステイスタイルを示したストーリーに共感するか否かを確認する。
 例えば、公共交通機関を使って2時間以内の場所に居住する25歳から35歳までの女性を対象にした上で、先の「生産地が近いのでおいしい食事ができ、美しい雪景色を楽しめる」ストーリーに共感するかを確認する。ここで共感すると回答した人が④の左項に置かれる地域外住民であり、回答サンプルをもとに計算することで、狙うべき地域ターゲットの概数が計算できる。

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