3 当面の課題 ─全庁による、実効性と継続性のあるブランディングに向けて─
ここまで、ブランディングと行動変容の2段階の戦略を説明してきました。最後に、戦略遂行に当たっての課題についても触れておきます。
(1)インナープロモーションのための現状分析
多くの自治体は、施策の検討や評価に不可欠なものとして世論調査を行い、住民の定住意欲や地域活動への関心を調査していることと思います。これと同じように、職員の意欲やビジョンへの理解度を上げるためには、定期的な意識調査を実施してPDCAサイクルを回していく必要があります。
(2)施策間の優先順位の明確化
目指すビジョンの確実な実現のためには、職員の意識変容だけでなく、組織としての戦略的な資源配分が必要になります。すなわち、
・ビジョン実現のために力を入れるべき政策又は事業を、根拠をもって設定
・予算・人員の割り振りに当たって、重点政策・重点事業を優先する
という仕組みを確立する必要があります。
おわりに
まとめとして、八王子市が大事にしている二つのポイントをお話しします。
(1)ゴールを明確に設定し、みちを描く
戦略づくりとは、分厚い「計画書」をつくることではありません。目指すべきゴールはどこか、どんなみちでそこに至るのかという地図を描くことです。
そして、地図どおりにあるけているか、そもそも地図は正しかったのかをリアルタイムで検証し続ける、「GPS」に当たる仕組みも構築していきたいと思っています。
(2)インナーとアウターを「両足」にしてあるく
つくった地図を実際にあるくのは、プロモーション担当だけではありません。
だからこそ、「アウター(対庁外)」のプロモーションに加え、「インナー(対庁内)」のプロモーションを着実に進めることが大切なのです。
中から変えるアプローチは、遠回りに見えるかもしれません。
外から見える成果は、すぐには出ないかもしれません。
それでも、職員が変わり、組織が変わることがゴールに至る唯一のみちだと信じ、私たちは一歩一歩あるき続けています。