5 予算決算審査の再構築
飯田市議会では、予算決算議案の審査について分野別常任委員会への分割付託を行ってきた。予算決算(案)も議案であり、議案は一体不可分のもので、これを分割して扱うことはできないとされている。しかし、予算決算の審査は自治体にとって最も重要であり、多くの議員が関わることを求める。以前は地方自治法により常任委員会への重複所属が制限されていたため、やむをえず分割付託による対応を行ってきた。法改正により、この制限がなくなった以降も、飯田市議会では「屋上屋論」※が根強く、分割付託を継続してきた。
しかしながら、先進地視察や有識者との懇談等から、予算決算議案審査の分割付託に関して、以下の問題点が指摘されるに至った。
① 議案の分割された部分のみに対して、議員が可否を表明すること自体に疑義がある。
② 常任委員会の間で採決態度が異なった場合の対応方法が不明である。
③ 特定財源以外の歳入が総務委員会の所管となっていることなどから、委員会において議案の修正を行うことが困難である。
④ 委員会の所管をまたぐ議論が難しい。
⑤ 議案全体を俯瞰した議論がやりづらい。
このため、平成30年12月に議会運営委員会内に「予算決算審査検討プロジェクト」を設置し、行政評価での課題も含めて改善の道を探ることとなった。
このプロジェクトは、平成31年4月まで10回開催され、以下の結論に至った。
① 予算決算審査及び、議会による行政評価を担当する常任委員会として、新たに予算決算委員会を設置し、予算及び決算に関する議案の分割付託を廃止する。
② 予算決算委員会に分科会を置くことで、分野ごとの専門的な深掘りの議論に加え、議案全体を俯瞰した審査を行う。また組織横断的な政策課題への対応を図る。
③ 議員間や分科会間の意見調整を重視し、議会意見の予算決算への反映を図ることにより、議会による政策提言の取組みを進める。
④ 議会の権能を全うし、市民への説明責任を果たす。