地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

特集 はじめての議案審査~決算編

2019.08.13 予算・決算

飯田市議会の政策サイクルと予算決算審査

LINEで送る

3 議会による行政評価と政策サイクル

 平成19年度スタートの第5次飯田市基本構想基本計画には、その進行管理の仕組みとして、継続的な評価と改善を行う行政評価が組み込まれた。議会や市民を含めた第三者評価機関のチェックや提言を反映し効果を高めることで、目指す都市像を実現することとされた。
 一方、議会としては、行政評価を活用して基本構想基本計画の進行管理に関与することで、自治基本条例に規定された市議会の責務を果たすこととした。市の執行機関が行う施策や事務事業の自己評価に対して、議会の各常任委員会が、所管する施策と特徴的な事務事業の取組状況を二次評価し、その結果を踏まえて第3回定例会での決算認定を行う取組みを平成20年に試行し、21年より本格実施した。
 こうして市の総合計画の進行管理と行政評価のマネジメントスタイルが確立したが、市議会が全ての施策と事務事業を評価するのは日程的に困難であった。このため委員会の議案審査経過や重要性、市民の関心度等を考慮して、評価対象とする施策や事務事業を抽出することとした。事務事業評価については、事業の「拡大・見直し・現状維持・縮小・廃止」を判断する形式で評価し、その理由や議会の考えを示すことで、次年度予算へ向けた議会からの提言とした。
 自治基本条例における議会の重要な役割として、「開かれた議会運営」が規定されている。飯田市議会では、市内を6ブロックに分け、全議員が出席する議会報告会を平成21年より開始した。平成25年には、自治基本条例を一部改正し、議会報告会を「開かれた議会運営」と「議会への市民参加の推進」の取組みに位置付け、議会報告会を起点に市民の声を政策づくりに反映することとした。
 こうして「行政評価」と「議会報告会」を軸とした、図1に示す「政策サイクル」が構築された。

図1 飯田市議会における政策サイクル(平成29年まで)
Tokusyu_zu1

4 直面した課題

 飯田市は、第5次基本構想基本計画の後継となる総合計画「いいだ未来デザイン2028」を平成28年に策定した。計画の対象となる期間は、平成29年度からの12年間で、「目指すまちの姿(8項目)」の実現に向け、前期、中期、後期の4年ごとに「基本目標(前期12項目)」を設定することにしている。また基本目標を実現するため、部局横断的に該当する事業を盛り込み、戦略計画を策定する「戦略バスケット方式」を採用したが、このことが議会の行政評価にとっては、新たな課題となった。
 飯田市議会は、行政評価や議会報告会を起点とした政策提言の取組み等において、分野別の常任委員会を中心に対応を行ってきた。これは、委員会中心主義を尊重したもので、専門的な視点による深掘りの議論が何より重要と考えてきた。第5次基本構想基本計画は、全ての政策、施策、事務事業を行政分野別に整理した構造を有しており、分野別常任委員会が分担するには都合のよいものであった。しかし、新たな総合計画「いいだ未来デザイン2028」は、従来の行政分野にこだわらない組織横断的な政策展開を行うこととしている。このため議会においても、各委員会の所管範囲を超えて全体を俯瞰(ふかん)した議論を深め、新たな状況に柔軟に対応することが求められることとなった。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 424

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)始まる(平成19年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る