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特集 2019年統一地方選挙

2018.12.10 選挙

第24回 統一地方選挙を住民自治の進化に(下) ――マニフェスト選挙:再考――

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(3)マニフェスト作成支援制度
① 行政機関によるマニフェスト作成支援
 議員や首長の選挙への立候補に当たって、マニフェスト作成を支援する要綱を策定する自治体も増えてきている。岐阜県多治見市(後掲資料参照)、愛知県犬山市、長野県小諸市、埼玉県羽生市、三重県松阪市、熊本県御船町などである。松阪市では、その支援を条例化する提案も行われていた(松阪市政に係るマニフェスト作成の支援に関する条例(案)。ただし、例規集にも見当たらないので廃案の可能性あり)。
 現職と新人との間には自治体などについての情報量の差が大きく、その情報量の差が立候補を躊躇(ちゅうちょ)させることもある。また、マニフェストを豊富化する必要もある。これらを想定して、行政がマニフェスト作成を支援することが目指されている。
 条例化によって、法的な安定性を確保することも必要だと思われる。ただし、情報は立候補者だけではなく、万人に提供されるものである。よって、条例化された場合は、情報公開条例の下位に位置付けられるものである。とりあえず、要綱として実質化を図ることから始めたい。

② 議会によるマニフェスト作成支援
 議会がより積極的にマニフェスト作成を支援する動きもある。北海道浦幌町議会は、個人個別研修会を開催して、議員マニフェストの作成を支援している。立候補を目指している住民だけではなく、「議会を知りたい、議員になりたい、政治に興味がある」住民を対象としている。「町議会議員選挙への立候補の有無は別」としながらも、議員のなり手不足解消の一環として位置付けられている。
 二元的代表制や議会の役割を学ぶとともに、「立候補にあたっての留意事項」、「立候補手続きとは」、「議員マニフェスト」(第5回)を学び、立候補へのハードルを低くしている。2018年7月26日から始まり、3人が参加している。

【資料】北海道浦幌町議会個人個別研修会(案内)
議会を知りたい、議員になりたい、政治に興味がある
 町議会議員選挙への立候補の有無は別としまして、議会制度、議員活動、町政に関心をもっていただくところから取り組むことが、今後の議員のなり手不足解消にもつながると考えております。議員のなり手不足検証報告書においても、個人研修会の実施を決定したところでありますが、次期選挙まで残すところ9カ月となったことから、再度、お知らせいたします。
■対象者:町内に在住の方、今後在住予定の方
■期 間:平成30年12月まで 期間内でご要望に合わせ5回程度開催予定
■講 師:議員、議会事務局職員
■カリュキュラム
 第1回(7月26日):趣旨説明、二元代表制と議会の役割、議会運営の基礎
 第2回(8月8日):議員の職務と議員活動、議員定数と議員報酬の考え方
 第3回(8月23日):議会とは
 第4回(8月23日):町例規集、議会関係例規、町の各種計画、予算概要、予算書の見方
 第5回(12月(予定)):立候補にあたっての留意事項、立候補手続きとは、議員マニフェスト

注:北海道浦幌町議会『うらほろ議会だより』180号(2018年)より。日時は、浦幌町議会へのヒアリングより。第3回、第4回は、同日開催。

(4)住民による支援:「住民が私のシンクタンク」
 住民の意見をマニフェストの素材として活用することは重要である。多様な課題の発見や提言・監視に活用できるからである。
 大西一史熊本市長は、2014年の市長選挙に当たって「市民が私のシンクタンク」という視点から、マニフェストをつくる過程に市民を参加させた。「政策立案会議」を52日間、30回、延べ千数百人の市民の話を聞いた。それに基づきマニフェストを作成している。生きた政策議論を行った上で、130項目のマニフェストをまとめた。完成した政策は政策発表会において市民に説明している(大西市長は、第10回マニフェスト大賞「優秀マニフェスト賞(首長)」を受賞)。
 住民との対話によって、マニフェストは豊富化される。

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