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特集 2019年統一地方選挙

2018.12.10 選挙

第24回 統一地方選挙を住民自治の進化に(下) ――マニフェスト選挙:再考――

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3 もう一歩:マニフェストを豊富化する

(1)議会改革の到達点の活用
 マニフェストは真空で作成するものではない。政治という磁場の上で作成する。過去にどのような論戦があったかを理解し、マニフェストを自ら作成する際には、過去の論戦、到達点からそれを豊富化する必要がある。マニフェストに書き込む必須事項として、総合計画と自治・議会基本条例の評価を提案した。それもその1つである。
 同時に、毎年、あるいは任期満了の際に住民に提出する『議会白書』等の文書は、マニフェストが単なる思いとならないための重要な素材である。議会が提出するそれらを理解し、議会がそれらにどうかかわってきたかを学ぶことは、マニフェストを豊富化する。
 なお、岩手県滝沢市議会はこうした意味を込めて、市議会議員選挙前に住民に議会活動を報告し、積極的に立候補予定者への参加を呼びかけていた(2015年)。

(2)逆マニフェストの活用
 政策研究ネットワーク「なら・未来」(奈良県奈良市)(第7回マニフェスト大賞「最優秀マニフェスト推進賞」)は、住民側から立候補予定者にマニフェストを逆提案する「市民マニフェスト」の運動を展開している。いわば逆マニフェストである。政策研究団体としてのマニフェスト検証や政策提言などの活動の一環である。
 候補者は、こうした逆マニフェストを活用して自らのマニフェストを豊富化する。なお、公開質問状も行われているが、体系性・主体性という観点から、より積極的な提案といえよう。
 逆マニフェストと呼べる動きは広がっている。以下は、第13回マニフェスト大賞「優秀マニフェスト推進賞(市民部門)」を受けた団体の活動である。

〈共創かまくらプロジェクト(神奈川県鎌倉市)〉
 地域福祉・医療にかかる専門職の有志によるプロジェクト。福祉・医療を総合的かつ網羅的に捉えた政策集を構築し、全国の自治体に現場の声を届け、総合的な課題解決を目指す。福祉・医療にかかる市民起点の政策集を作成し、現職市長に提案。選挙公約に取り入れ3選した後、2018年3月に一般会計予算案が可決され、現在、公約の多くが事業化されている。

〈Local Democracy Action-KYOTO(LDA-KYOTO)(京都府)〉
 2015年より大学門前や街頭にて学費・奨学金・働き方など生活実態にかかわる「生活実態アンケート」を1,000人以上から集約。実態を可視化し、全世代の問題として広く社会や地域の中で共有する「1000人の声から生まれた、京都府に実現してほしい17のこと」を作成し、京都府知事選挙に向けて政策提言を実施。実際に候補の政策に反映された。

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