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2018.11.26 選挙

求められる若者と政治をつなぐ地方議員 ─YouthCreateの原田謙介・代表理事インタビュー─

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──うまくいきましたか。
 地元とはいえ中野区の区議会議員に知り合いは1人もいませんので、伝手(つて)のないまま声をかけて回ったら、3人の区議が承諾してくれました。苦労したのは、むしろ、若者を集めることでした。国会議員のときよりもずっと難航して、予想していた以上に大変でした。それで逆に、こういう交流イベントを行う重要性を再認識しました。何とか20人ほどの若者を集めることができ、VotersBarを開催しました。参加した若者の多くは政治に詳しくない人たちでしたが、国会議員との交流会(飲み会)よりもずっと面白い集まりになったと思います。政治や行政のことを知らない参加者たちが話の中に入ることができて、自分たちの意見を言えたからです。地方議員と話のキャッチボールができたように思います。イベントに参加した若者がその後、街中で議員とばったり会うこともあり、地方議員を身近に感じるようになったと聞きました。

──原田さんたちも確かな手ごたえを感じたのですね。
 その後も中野区内でVotersBarを開催し、各会派の区議が参加してくれるようになりました。区議によるパネルディスカッションを行ったり、議員に日常の活動内容を話してもらうなど、内容も工夫しました。議員と若者の交流を重ねてきて思うのは、地方議員の方が若者の受けがよいということです。彼らはまちの現場の話をよくします。例えば、駅前をどうするかといった話です。そのまちに住む若者たちの目に絵が浮かぶので、彼らも主体的に話に加わることができます。それで反応が違います。硬い政治の話というのではなく、日常やちょっとした将来の話をする感じになり、盛り上がるのです。
 中野区内で始めたVotersBarは、選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられてから(2015年6月法改正)、その名をVotersCafeに変え、仙台市や松山市などでも開催するようになりました(2017年度末までの参加者数は879人、参加議員数は169人)。

Tokushu-Interview_ph02高校2年生を対象とした出前授業で講師を務める原田さん

 選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられたことで、僕らの活動の世界が大きく広がりました。全国の中学校や高校から主権者教育の出前授業を依頼(2017年度末までに延べ86校、受講者数1万9,254人)されるようになり、自治体職員や教員向けの研修や、子育て世代と政治をつなぐ取組みなどに関わるようになりました。いろいろな自治体の方が僕らの活動の重要性を認識してくれるようになったと感じています。それから、僕らのような活動をしている団体が増えていることも実感しています。残念ながら、まだ投票率を押し上げるまでには至っていませんが、僕らが直接会えた若者たちの中に政治を身近に感じたり、投票に行こうと考えるようになった人が生まれていると思います。それに、投票以外での政治参加が増えてきているのは間違いないと思います。

──なるほど。では、地方選挙に立候補する人が若者たちに自らの思いを伝えるにはどうしたらよいでしょうか。
 選挙に出ようと思うのならば、少なくともウェブにご自分の情報を載せていただきたい。ホームページでもTwitterでもFacebookでも何でもいいんです。若者にとってウェブ上で検索して何も出てこなかったら、(その人はこの世に)存在しないのと同じです。まずはウェブ上に情報をアップしてください。政策とプロフィールです。そのときの留意点は、若い世代がそもそもまちのことに詳しくないという点です。ですから、ご自分の政策を示す前に、その前提となる情報をきちんと提示しなければなりません。選挙は誰を選ぶかという場ですが、何がまちの課題、争点であるかを知る機会でもあります。それらを可視化する必要があるので、候補者は自らの考えや意見を示す前に、基礎となる情報をきちんと提示すべきです。ここが抜けてしまいがちです。誰もが知っているものだと思い込んでいるのです。(候補者が)このまちの現状をどのようにとらえているか、しっかり説明していただきたい。
 それからもう一点。投票に行かない若者たちも政治に関心がないというわけではないと思います。ある調査で7割を超える高校生が「社会や政治問題へ参加すべきだ・参加した方がよい」と答えていました。つまり、関心はあるけれど投票には行かないという若者が多いのです。ではなぜ、そうなのか。地方選挙の場合、(候補者の)情報がない、とりづらい、比較がしにくいのです。ですから(候補者の方々が)最初から若者の票を捨ててしまうようなことは、やめてほしい。せめて、ウェブ上に情報を流していただきたい。

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