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特集 2019年統一地方選挙

2018.11.26 選挙

求められる若者と政治をつなぐ地方議員 ─YouthCreateの原田謙介・代表理事インタビュー─

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地方自治ジャーナリスト 相川俊英

 来年4月に実施される第19回統一地方選挙で注目されるのが、長期低落傾向を続ける投票率である。前回(2015年)の統一地方選挙では低投票率が続出し、特別区長選以外は過去最低を記録した。平均投票率が50%を超えたのは市町村長選と町村議会議員選のみで、ほかはいずれも4割台に落ち込んだ。国政選挙と同様、若い世代の低投票率が顕著となっており、統一地方選挙後に総務省などが行った年代別投票参加率調査によると、60歳代が72.5%、70歳代が80.9%だったのに対し、20歳代は何と35.8%。政治に距離を置き、選挙に関心を示さない若者の姿が明らかになっている。それだけに、選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられてから初となる来年の統一地方選挙の行方が注目される。
 政治への無関心層が多いといわれる若者に対し、どのようにアプローチしたらよいかをNPO法人YouthCreateの原田謙介・代表理事に伺った。原田さんは1986年生まれの32歳。東京大学法学部を卒業後、若者と政治をつなぐ活動を行うNPO法人YouthCreateを設立。若者の声をより政治の場に届けるためのきっかけづくりや学びの場づくり、参画の道づくりを全国各地で精力的に進めている。

Tokushu-Interview_ph01原田謙介・NPO法人YouthCreate代表理事

──どのようなきっかけでYouthCreateを設立したのですか。
 大学に入学した頃は政治家か弁護士になりたいと思っていて、国会議員の事務所でインターンになりました。政治の現場を知りたい、触れたいと思ったからです。ちょうどアメリカで「チェンジ」を掲げるオバマ氏が大統領への階段を駆け上がる頃で、アメリカの若者の間では政治への関心が高まり、とても盛り上がっていました。日本でも政権交代が現実化しつつある頃で、世の中に高揚感のようなものが漂っていましたが、日本では若者は依然として蚊帳の外でした。民主党(当時)の議員たちも若者たちと会っていませんで、政権交代となっても若者の政治参加が推進されるイメージはありませんでした。自民党も民主党も若者に目を向けていないと感じていました。他の国会議員のインターン仲間も同じような思いでした。
 大学3年になって就職活動を意識し始めた頃、インターン仲間と話しているうちに「就活に入る前にみんなで何かやろう」と意気投合しました。私は海外に行ってみて、若者と政治をつなげるいろいろな団体があることを知り、「なぜ日本にはそうした団体がないのか」と不思議に思ってもいました。それで20代の投票率向上を目指して結成(2008年4月)したのが「ivote」で、メンバーはインターン仲間の大学生6人です。皆、政治の世界の人たちだけでやれることの限界を感じていまして、政治への関心が高くない(同世代の)人たちにアプローチすることで意見が一致しました。

──若者と政治をつなぐ取組みですね。具体的にどのようなことから始めたのでしょうか。
 まずは国会議員と大学生の飲み会(交流会)を企画しました。「居酒屋ivote」です。国会議員に直接会ってみたいという学生もいて、30人ほど集まりました。議員は各党から来てくれまして、学生たちはややミーハー的な感じもしましたが、議員の話をじっくり聞きました。ごく普通の飲み屋を借り切って行い、会費は1人3,000円。こうした国会議員と大学生の交流会を10回開催しました。
 実はivoteを結成したとき、活動をずっと継続させる気はありませんでした。皆、就活を始めるまでの時限的なものという意識でした。ところが、取組みを重ねるうちに若者と政治をつなげる活動の重要性をより強く感じるようになり、私は就職せずに活動に専念することを決めました。親には「仕事をしながらやれないのか、食べていけるのか」などと心配されましたが、翻意しませんでした。仕事をしながらNPO活動はできない性分なのです。2012年3月に大学を卒業し、その年の11月にNPO法人「YouthCreate」(法人化は12月)を設立しました。もっとも、NPO活動だけでは食べていけないので、アルバイトをしながらの生活がしばらく続きました。
 YouthCreateは、若者が政治に関わる意義や楽しさを知り、政治に実際の声を届けることができる仕組みづくりをします。そのために「若者側」と「政治側」の双方にアプローチします。

──若者と政治をつなげることを目的としたNPOは、日本では極めて珍しい存在です。
 YouthCreateを立ち上げたとき、私は若者と政治、とりわけ若者と地方政治をつなげたいと考えました。本来、身近なはずの地方政治の情報があまりにも少ない。おかしな地方議員が後を絶たないのも監視の目がほとんどないからで、市民の大半は地方選挙に行かなくなってしまっています。それで最初に手がけたのが、「VotersBar」です。地方議員と若者が対話するイベントで、学生時代に開いた国会議員と若者の交流会(飲み会)のいわば地方議員版です。事務所のある東京の中野区内のバーを借り切って開催しました。

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