政策ビラ解禁は地方議会選挙の文化を変える可能性がある
これまで、政策ビラの解禁と、それに対する有権者の意識の変化について見てきた。こうした動きのほかに、現在のICTやスマートフォンの広まりや、2016年参議院選挙からの18歳選挙権の実現は、「政策による投票」をさらに推進していく可能性がある。
10代や20〜30代などを中心にして、今や政治や選挙情報すらもスマートフォンを通じて閲覧する「スマホファースト」の時代が訪れている。これはつまり、見たいと思えばすぐに候補者の政策が見られることを意味する。
また、18歳選挙権の実現により学校で主権者教育が行われることで、高校生を中心にして、「政策を比べて選ぶ」ことを訓練した有権者が、毎年かなりの数、生まれてきていることも指摘しておきたい。7月の長野県知事選挙、9月の沖縄県知事選挙ではそれぞれ信濃毎日新聞、沖縄タイムスと協力して中学校・高校での模擬選挙に取り組んだ結果、それぞれ1,000〜2,000人単位で投票体験をした生徒や学生が生まれている。
変化は起きている。これまで「どうせ政策で選ばれない」と、住民に対して政策づくりや政策を伝えることを怠っていた候補者がもしいるとすれば、すぐに襟を正した方がいい。有権者は選挙での政策提示や政策ビラの内容を通じて、その候補者が信頼に足るか、実行力を持っているか見定めている。
これまで監視機能のみにおとしめられていた地方議会の機能は、地方創生時代には条例制定機能による民意の反映と地域課題の解決も可能になっている。そのスタートは、選挙におけるマニフェストの提示だ。有権者の立ち位置に立ち、選挙を通じて議会の機能を果たしていこうという「気概」を持つ候補者にとっては、大きなチャンスとなるだろう。
2015年から開始したマニフェストスイッチプロジェクトや、2018年から開始した議会マイニングは、「選挙において有権者が適正な判断を行い、投票行動に生かす」ための後押しとしていきたい。
今回の政策ビラ解禁を契機に、地方議会の文化を変え、地域から国を変えていくうねりが起こることを期待したい。