地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

特集 自治体議員とリーガルマインド

2018.09.25 リーガルマインド

議員提案条例の制定が議員のリーガルマインドを高め議会力をアップする

LINEで送る

 このように、よこはま自民党が議員提案条例を次々と制定させると、公明党や当時の民主党からも議員提案条例が出され、2015年までの4年間は、さながら議員提案条例制定ブームといった感じでした。全会一致で制定された「議会基本条例」をはじめ、「ごみ持ち去り禁止条例」、「読書活動推進条例」、「洗髪条例」、「市民協働条例」、「横浜市官民データ活用推進条例」、「国際平和の推進に関する条例」(公明党が主導)、「落書き防止条例(当時の民主党が主導)」といった条例が制定されました。
 現在は少し落ち着いてきましたが、大きな課題に直面し、多局にわたる政策の展開が必要な場合には、当たり前のように新たな議員提案条例の制定が検討され、成立しています。
 冒頭でも触れましたが、議員提案条例の制定は、その制定に関わり、努力を重ねた議員の議員力アップにつながります。よこはま自民党では、初めてマニフェストを掲げた選挙で大きな勝利を得ると、マニフェストに書かれた条例案ごとにプロジェクトチームをつくり、議員提案条例の制定に向けた調査・研究を始めました。その多くは3年以上の長期プロジェクトであり、行政当局、関係する市民団体、業界団体、有識者などとの意見交換や勉強会、先進自治体への視察やいただいた市民意見などを基に研さんを重ねるとともに、条例の成立に向けて他の会派とも折衝を重ね、本会議場では議員間で厳しい質疑が行われました。議員提案条例の制定に携わった議員は、その条例に関する政策のエキスパートとなり、条例制定後もその課題の担当者として関わり続けています。議員として勉強しなければ条例制定にたどり着けないという意識や競争心が生まれるとともに、会議の運営や他の会派との折衝などを通じても議員力は高まったと思います。
 また、議員提案条例を策定する際に留意した点として、縦割り行政に横串を刺す、地域の独自性を出す、パブリックコメントや勉強会などを通じて市民と議会との信頼関係を醸成する、といったことが挙げられます。そういった策定のプロセスから多くを学ぶことができるのも、議員提案条例策定の効果といえます。
 そして、制定された議員提案条例を基に執行部が様々な政策を策定、実行していくことで、市民生活にプラスの効果が次々と出てきます。こういった政策の策定と実施こそが、議員提案条例制定がもたらす議会、議員、執行部、そして市民にとっての果実です。
 この一連の取組みが全国の議会関係者からどのように評価されるのかを確認する意味も含めて、「第9回マニフェスト大賞」マニフェスト部門にエントリーしたところ、多くの方から高い評価をいただき、第9回マニフェスト大賞グランプリを受賞することができました。
 このグランプリ受賞をきっかけに、市長や市長部局の議員提案条例に対する評価は大いに高まり、市長が提案した2015年度からの中期4か年計画には、すべての議員提案条例が盛り込まれ、市長によるビジョンの策定に議員提案条例が大きな影響を与えました。市長や市長部局が議員提案条例を活用して政策をつくるようになるなど、議会に対するスタンスや立ち位置も大きく変わりました。この大きな改革によって、私たちは新しい時代の二元代表制のあり方が示せたとも考えています。
 前回(2015年)の横浜市会議員選挙におけるマニフェストでは、新たな議員提案条例策定を盛り込むよりも、制定した議員提案条例に基づいた政策を執行部にしっかりと策定・実施させることで、市民生活の向上や将来の横浜のために議員提案条例がじわじわとその効果を発揮していくことを市民に理解してもらうという内容にしました。議員提案条例の制定や、それに基づく政策ではなくても、議員の側からの発想で生まれる細かい政策についてもしっかり実現させていこうというマニフェストを発信し、その進捗を測定する検証大会も、市民団体やシンクタンクの協力を得て行いました。

図2 2015年のマニフェスト図2 2015年のマニフェスト

 議員提案条例制定後には、予算が拡充されたり、それを担当する部署が新たにできたり、人員が増員されたりします。それにより、それぞれの条例に基づいた政策が必ず策定され、実施されることになります。図3は、特に分かりやすい成果を列記したものですが、すべての議員提案条例が成立した瞬間から執行部によって政策が打ち出され、実施され、多くの成果が生まれています。

図3 議員提案条例制定による成果図3 議員提案条例制定による成果

 現在策定中の2019年の横浜市会議員選挙に向けたマニフェストでは、約束した政策とその進捗状況、成果、そして、そこからさらに進化した政策をしっかりと市民に示していきます。
 議会主導の政策が次々と実現したこと、実現した政策によって市民の生活が良くなったことや便利になったことなどを具体的に示すとともに、議員提案条例についても5年以上経過したものについては、検証・見直しを図り、必要に応じて条例改正に取り組んでいきたいと考えています。

図4 2019年のマニフェスト図4 2019年のマニフェスト

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 424

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)始まる(平成19年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る