2 これまでの取組み
平成28年12月に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が公布された。
本法は、教育基本法及び児童の権利に関する条約等の趣旨にのっとり、不登校児童・生徒に対する教育機会の確保、夜間等において授業を行う学校における就学機会の提供その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等を総合的に推進することを目的としている。基本理念は以下のように掲げられている。
基本理念
1 全児童・生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること
2 不登校児童・生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること
3 不登校児童・生徒が安心して教育を受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること
4 義務教育の段階の普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を尊重しつつ、年齢又は国籍等にかかわりなく、能力に応じた教育機会を確保するとともに、自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること
5 国、地方公共団体、民間団体等の密接な連携の下に行われるようにすること
この基本理念に基づいて、不登校児童・生徒に対する教育機会を確保する必要がある。
国や地方公共団体は、その責務として、教育機会の確保のための施策を推進し、必要な財政上の措置を講じるよう努めるとされている。具体的には「不登校児童生徒に対しその実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備」、「不登校児童生徒の学習活動に対する支援を行う公立の教育施設の整備」などが成文化されている。また、「不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み」、「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」必要な支援を行うとされている。
しかし、本法に関しては、登校に見通しが持てなくなった不登校の子どもにとり、フリースクールなどの学校以外の場所での社会生活が営める機会を確保できるようになったという評価がされる一方、不登校の子どもを学校や登校している子どもから切り離しかねないものであって差別を助長しかねないといった反対の声もあった。
そして、本法では、不登校の予防を重視し、児童・生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童・生徒相互の良好な関係の構築を図るための取組み、児童・生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取組み、学校生活上の困難を有する個々の児童・生徒の状況に応じた支援その他の学校における取組みを支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとした。
不登校児童・生徒は生徒指導上の喫緊の課題となっており、国を挙げて施策が打ち出され取り組まれているところである。狛江市でも、これまで不登校予防や不登校対策に取り組んできた。とりわけ不登校予防については、教師の日常の観察以外に学級集団や個々の児童・生徒の理解を図る取組みを行っている。また、不登校対策については、狛江市教育研究所に設置している適応指導教室「ゆうゆう教室」(以下「ゆうゆう教室」という)で、不登校の児童・生徒の居場所を設け、自習学習を中心に支援を進めてきた。しかし、不登校児童・生徒は解消されておらず、依然として課題となっていた。