地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2017.05.25 議会改革

第24回 可決される条例案をつくろう!

LINEで送る

そもそも議会事務局が支えられるの?

男性

 議会基本条例では議会事務局の政策法務機能がうたわれており、議員提出の条例案づくりにおけるサポート役として、議会事務局が期待されています。しかし、実際はどうでしょうか? 政令市や中核市などの大きな議会では政策法務担当の課や係が置かれていますが、その他多くの市区町村では名ばかりの担当者がいればいい方です。議会基本条例の制定により、苦肉の策として執行部の法制担当者を議会事務局と兼任させている自治体もあります。しかし担当者からすれば、議会提出の条例案と執行部提出のものとの間に挟まれて、ジキルとハイドのようになってしまい、なかなか苦しいとの話があります。本当に議員提出の条例案を目指すのであれば、現実的にはなかなか厳しいようです。
 また、法制事務の経験者を議会事務局に配置するように配慮している自治体もありますが、職員数が削減されていく中で、日々の調査事務などに忙殺されてしまっている状況も見受けられます。そのため、議員提出の政策条例案づくりには議会事務局の体制づくりも必要となります。局長が逃げ腰で担当者に丸投げするような体制では、うまくいくものもいかなくなります。局長を抱き込みながら、足りない人員は専門的知見を活用することで、十分に先が見えてきます。
 なお、議会事務局の法制部門の強化については、どこの議会でも頭を悩ませる問題です。平成23年の地方自治法の改正で議会事務局の共同設置が可能になりました。そこで問題解決策のひとつとして、法制部門のみ近隣の議会と共同設置するという方法があります。もちろん「提案した議員と緊密なやり取りが必要になるため、その部分を外に出すのは困難ではないか」などの慎重な意見もあります。しかし、実際に法制事務も行っていた元職員としては、どんな形であれ、すぐに問合せをしたり意見を求めたりすることができる存在があると、大変心強いものです。共同設置とまではいかなくても、法制事務を行う上で寄り添ってくれる有識者がいれば、自信を持って議員提出の政策条例のサポートができるのではないでしょうか。近年増加している大学とのパートナーシップ協定締結の動きなどは、その解決策のひとつなのではないでしょうか。

議会事務局職員の本音……

男性

 多くの議会事務局では調査・法制担当者は1人~数人程度であり、議員提案の政策条例のサポートとなると、通常業務にそのまま上乗せになってしまいます。また、管理職の多くも法制業務については不得手な場合が多く、担当者任せにしてしまいがちなため、担当者が孤立してしまい、かなりの負担を強いられることは事実です。それゆえ、議員提出の条例案がない方が、職員も正直楽なのです。ちなみに私が事務局にいた頃は、いわゆる野党会派から、定例会ごとに一部改正条例案や新規条例案が提出されていたため、内容を精査するために条例案に関係する部署を飛び回りました。法制の経験がなかったので初めは苦労しましたが、事務局を後にするときには、多少は見る目ができたのかなと感じています。条例案の提出は事務局職員も育てます、間違いなく。

 いかがでしたか? 議員の皆さんの中には「今の議会構成ではとても無理だよ」と感じた方もいらっしゃると思います。唐突に条例づくりを打ち上げても、なかなか賛同は得られないかもしれません。タイミングを見据えて「ここぞ」というところで動けることができれば幸いです。さて、次回は会議原則について取り上げたいと思います。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る