2 改正法の内容
今般、中間報告等を踏まえ、改正法(公職選挙法の一部改正)に盛り込まれた内容は、大きくは次の3つである。それぞれの内容について順次説明していくこととしたい。
・共通投票所制度の創設
・期日前投票の投票時間の弾力的な設定
・投票所に入ることができる子供の範囲の拡大
(1)共通投票所制度の創設
市町村の選挙管理委員会は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認める場合(当該市町村の区域を分けて数投票区を設けた場合に限る)には、投票区の投票所のほか、その指定した場所に、当該市町村の区域内(当該市町村が2以上の選挙区に分かれている等の場合は、当該選挙区の区域内)のいずれの投票区に属する選挙人も投票をすることができる共通投票所を設けることができることとされた。
この共通投票所は、市町村の選挙管理委員会の判断により、有権者にとって利便性の高い場所に設置できることとされたものであり、その設置する時間についても、午前5時から午後8時までの間で、共通投票所を設置する施設の人の流れなどを踏まえ、柔軟に設定できるようにしている。
共通投票所を設置する場合においては、選挙人は、投票区の投票所のほか、共通投票所においても投票をすることが可能となるため、二重投票のおそれが生じることとなる。そのため、市町村の選挙管理委員会において二重投票を防止するために必要な措置を講じることとされている。
この共通投票所の設置に要する経費については、国政選挙においては、改正法のうち国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部改正に係る部分において、「共通投票所経費」の項目を新設して措置することとしており、例えば、二重投票を防止するための名簿対照オンラインシステムの構築に要する経費についても、当該システムが国政選挙にのみ使用されるものであれば、その全額を国費で措置することとしている(当該システムが地方選挙でも使用できる場合には、該当経費の9分の5を国費で措置)。
(2)期日前投票の投票時間の弾力的な設定
期日前投票の原則的な投票時間は、午前8時30分から午後8時までであるが、各期日前投票所の立地や利用状況等を踏まえ、地域を通じて最適な投票時間を柔軟に定められるよう、期日前投票の投票時間について次の2点の見直しが行われた。
① 開始時刻(午前8時30分)の2時間以内の繰上げ及び終了時刻(午後8時)の2時間以内の繰下げを可能とする。
② 2以上の期日前投票所を設ける場合には、午前8時30分から午後8時までの間において、少なくともいずれか1つの期日前投票所が開いていればよいこととする。
この見直しにより、朝の通勤・通学の時間帯に合わせて期日前投票所を早めに開けたり、ショッピングセンターなどの閉店時刻に合わせ、少し遅くまで開けておいたりといった柔軟な運用が可能となるほか、夜間の利用者が少ない本庁の期日前投票所を午前8時30分から午後6時まで、夜間の利用者を見込める商業施設等の期日前投票所を午前10時から午後8時まで開設するといったメリハリのある時間設定が可能になる。