東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学) 金井利之
はじめに
「移民拒否」、「単一民族神話」が強固に形成された現代日本において、近年、外国人の急増が顕著に意識されるようになった。最も目にするのは、「インバウンド」と呼ばれる外国人観光客の急増と、それに伴う観光・消費の活況と反面の「オーバーツーリズム」公害である。「旅の恥はかき捨て」といわれるように、日本人国内観光客による公害も多いが、文化・慣習あるいは行動様式・態度の違い、さらには、注意するときの言語の壁などで、それ以上の質量を持って受け止められている。
しかし、構造的に重要なことは、国内の各種担い手の不足によって、外国人労働者が様々な領域で活動し、それに伴って日常的に国内で生活していることである。例えば、飲食業・旅館業や小売店・コンビニでは外国人が労働しているのが見えやすい。また、消費者からは目につきにくい工場や農林水産業の生産現場でも、建設業・解体業・処分業でも、多くの外国人材が労働している。外国人労働力なくして、日本の生産・消費・廃棄は成り立たなくなっている。また、労働だけではなく、外国人投資家による投資及び買収、あるいは、教育・医療などを目的にもする富裕層の移民など、多種多様な外国人が日本で生活している。これは旅行客としての国際化ではなく、広義の住民としての国際化である。そして、それに伴って、様々な課題が自治体現場でも登場している。
実際には両者が渾然(こんぜん)一体となって、問題状況化している。もっとも、日本社会の慣習やあるべき行為を理解していないのは前者のことが多く、しかし、批判や風当たりの矢面に立つのは後者のことが多いようである。自治体は、両方の問題に直面しているわけであるが、その整理がついているわけではない。
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