兵庫県立大学環境人間学部教授 竹内和雄
1 世界の動向
先日、オーストラリアの大学教員とじっくり話す機会がありました。オーストラリアは、「16歳未満SNS禁止」が世界的な話題なので、聞いてみました。彼は「16歳男性が、過度に痩身願望をあおるSNSの影響で自殺したという衝撃的な事案が背景にあった」、「自殺された方が16歳だったので、16歳未満になった」と教えてくれました。さらに「51対49だ」とおっしゃいました。この法案はオーストラリアで、僅差で支持されている状況を51対49と表現されました。
オーストラリアでこの法案が可決されたのは2025年12月。2025年には、多くの国が制限の方向性を打ち出しています。10月にデンマークの首相が「15歳未満SNS利用禁止」の方向性を示し、11月にはEU議会が16歳未満の利用制限を求める決議を可決しています。日本でも今、この問題が盛んに論じられています。
2 日本の方向性は?
日本も今、こども家庭庁を中心に、総務省、文部科学省など、政府を挙げてこの問題の方向性を議論しています。待ったなしの状況ですが、「欧米が16歳未満禁止だから日本もそれに習うべき」というほど簡単なものではありません。いろいろな意見がありますが、日本はこの分野の先進国だと私は考えています。
理由は、日本がガラケー時代を経ていること、です。日本の子どもにとってスマホは、ガラケーの進化系です。ガラケーでゲームやコミュニケーションをしてきた2000年代がありました。一方、日本以外の海外の多くの国々にとってスマホはパソコンの進化系です。パソコンでゲームやFacebook等のSNSをしていたのがスマホに移りました。つまり出自が違うのです。
ガラケー時代、初めて手元で扱える小さな情報端末を手にした日本の子どもたちの状況は深刻でした。「学校裏サイト」、「高額請求」、「出会い系サイト」など、マスコミは連日、子どもとネットについて報道していました。そこで、2009年、青少年インターネット環境整備法(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)を施行して、子どもを守ろうとしました。国として法律をつくって対策したのは、実は日本が最初です。今、オーストラリアやEU等が法規制に動いている10年以上前に、すでに日本は国を挙げて対策をしていたのです。……しかし、当時と状況が変わってきたので、新しい規制、法改正等が必要になってきた、ということです。
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