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2026.07.10 New! 政策研究

デジタルネイティブを守り、育む社会へ──「川口市子どものインターネットの適切な利用の推進に関する条例」の挑戦

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川口市議会議員 杉本佳代

序論:利便性の影に潜む「見えないリスク」

 21世紀、インターネットは私たちの生活に不可欠なインフラとなりました。情報の瞬時の共有、多様な「知」へのアクセス、そして地理的制約を超えた交流。これらは社会全体に多大な恩恵をもたらし、とりわけ次代を担う子どもたちにとって、ネットは学びや自己表現の可能性を広げる強力な武器となっています。
 しかし、光が強ければ影もまた濃くなります。SNSを介したコミュニケーションが子どもたちの日常に深く浸透した結果、かつての「路地裏のトラブル」はデジタル空間へと場所を変え、その匿名性と拡散性によって、より深刻で不可視な問題へと変質しました。
 子どもたちがネット犯罪の被害に遭うだけでなく、無自覚のうちに他者を傷つけ、加害者となってしまうリスク。そして、過度な依存による心身への悪影響。これらはもはや一家庭、一学校の努力だけで解決できるフェーズを超えています。こうした危機感に基づき、川口市議会では議員提案による「川口市子どものインターネットの適切な利用の推進に関する条例」を制定し、令和8年4月1日より施行しました。本稿では、条例制定の背景にあるデータと、本市が目指す「共助」の形について詳述します。

1 統計が示す「非常事態」:加速する長時間利用と深刻な犯罪被害

 条例制定に向けた議論の出発点となったのは、目を疑うような統計数字の急増でした。
 こども家庭庁が令和7年3月に公表した「令和6年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によれば、現代の子どものネット利用は「ほぼ全員」という段階に達しています。小学生の97.2%、中学生の98.1%、高校生では99.4%が日常的に利用しており、その平均利用時間は1日5時間を超えています。生活時間の多くがデジタル空間に費やされているのが実態です。
 また、警察庁が公表した「令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況」では、SNSに起因する犯罪被害に遭った子どもは全国で1,486人に上ります。特筆すべきは、10年前と比較した際の増加率です。小学生の被害数は約3.9倍、さらに殺人や強盗、不同意性交等の「重要犯罪」に至るケースは、実に11.7倍という異常な伸びを見せています。
 ネット上での誹謗(ひぼう)中傷、いじめ、不適切な画像の送信要求など、子どもたちを取り巻く環境はまさに「非常事態」といっても過言ではありません。この現実に、私たちは行政・議会としてどう向き合うべきか。それが本条例に課された最大の問いでした。

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杉本佳代(川口市議会議員)

この記事の著者

杉本佳代(川口市議会議員)

総務常任委員/保健医療・子ども家庭支援等福祉対策特別委員会副委員長/川口市サッカー協会会長 1964年生まれ。公立都留文科大学文学部卒業。2007年に株式会社ジュリス・キャタリスト会社設立( 代表取締役 )、その他、地方自治法務研究会、医療福祉経営法務研究会や農業経営法務研究会等の研究会を運営。2009年に川口市会議員補欠選挙にて当選。

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