一律削減は愚の骨頂
自治体の財政健全化についてあちこちでお話ししていると、時々「残念な行革」について小耳に挟むことがあります。
財政状況が厳しい、苦しい中でその立て直しのために首長や職員の皆さん、特に財政課の皆さんがいろいろと頑張っていらっしゃることは分かりますが、その取組の方向性やその結果出てきたアウトプットについて「?」と首をかしげたくなる「残念な行革」には、いくつかの特徴があります。
まず残念なのは、「一律削減」です。支出に見合う収入が確保できない、支出が膨れ上がって収入を超えてしまう、そんなときに必ず行う行革が施策事業の見直しや経費節減による支出の圧縮ですが、そこでついやってしまうのが、収入に見合う削減額の規模を確保するためにすべての部局単位あるいは個々の事務事業に「一律」で削減率を乗じてその範囲内に支出額を収めるという手法です。
これは、予算編成の手法としてとられる「シーリング(予算要求上限額の設定)」とは全く異なる手法です。シーリングは、1件ずつ事務事業の予算審査を行う前提で、その前さばきとして必要額を青天井で要求してもらってそれを削るのではなく、あらかじめ現場側で要求額を一定の上限額に抑えてもらい、査定側の作業を減らすというもので、一つひとつの事務事業の費用は査定側でさらに精査して切り込んでいくことになり、結果として満額認められるものもあればゼロになるものもあるという意味で、個々の事務事業の優劣やその経費の適切性を判断していることになります。
「一律削減」ではこの優先順位付けや費用の適切性の検証が行われないことになり、その結果でき上がった予算や財政計画は何を目指すものなのかが明らかにならないのです。
財政健全化は目的ではなく手法。限られた財源をより優先順位の高い施策の事務事業に充当することを目的に、劣後した事務事業の充当財源を縮小していく、政策推進のための手段です。
支出の削減は収入との帳尻を合わせるためだけに行われるものではなく、自治体にとって真に必要な施策事業は何なのかをまず議論し、その推進に必要な財源をどこから捻出するのかという「ビルド&スクラップ」の中で行われるべきもの。
「一律」という横並びにより、職員にとっても、議会、市民にとっても、何のために行革をやっているのか、という大義名分が不鮮明になってしまい、個々の事務事業の削減への抵抗感だけが湧き上がってくる結果になってしまうのです。
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