明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)専任教授 大山典宏
生活保護制度の今をどう捉えるか──20年の報道史から見える潮流
2000年に入ってからの四半世紀のあいだ、生活保護をめぐる社会の視線は大きく揺れ動いてきました。2000年代後半には「貧困の再発見」と呼ばれる潮流が生まれ、ネットカフェ難民やワーキングプアという言葉が社会に浸透しました。非正規雇用の拡大や家族機能の弱まりが背景にあり、メディアは当事者の声と制度のギャップを丹念に追いました。
これに対して、2012年に起きた、著名人親族の不適正な利用に関する報道をきっかけに“生活保護バッシング”が広がりました。ここで生じたスティグマは、困窮していても「頼りづらい」空気を社会に残したといえます。現在も、在日外国人に対する生活保護の利用への批判の声は根強いものがあります。
しかし、コロナ禍を経て、論点は再び制度の役割へ戻りつつあります。雇用の不安定化、独居高齢者の増加、ひとり親世帯の脆弱(ぜいじゃく)性が可視化され、「困窮は特定の人の問題ではない」という認識が広がってきました。一部の報道は、個別の不正や例外的スキャンダルよりも、制度が果たしている安全網としての機能や、現場の詰まりを解消する処方箋に焦点を当て始めています。生活保護は“最後の砦(とりで)”であると同時に、困窮が深まると速やかに門戸を開くべき「入り口の制度」でもあります。その二面性をどう両立させるかが、次の10年の課題です。
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