地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2026.02.10 政策研究

生活保護制度の危機──報道史・最高裁判決・現場の実態から考える

LINEで送る

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)専任教授 大山典宏

生活保護制度の今をどう捉えるか──20年の報道史から見える潮流

 2000年に入ってからの四半世紀のあいだ、生活保護をめぐる社会の視線は大きく揺れ動いてきました。2000年代後半には「貧困の再発見」と呼ばれる潮流が生まれ、ネットカフェ難民やワーキングプアという言葉が社会に浸透しました。非正規雇用の拡大や家族機能の弱まりが背景にあり、メディアは当事者の声と制度のギャップを丹念に追いました。
 これに対して、2012年に起きた、著名人親族の不適正な利用に関する報道をきっかけに“生活保護バッシング”が広がりました。ここで生じたスティグマは、困窮していても「頼りづらい」空気を社会に残したといえます。現在も、在日外国人に対する生活保護の利用への批判の声は根強いものがあります。
 しかし、コロナ禍を経て、論点は再び制度の役割へ戻りつつあります。雇用の不安定化、独居高齢者の増加、ひとり親世帯の脆弱(ぜいじゃく)性が可視化され、「困窮は特定の人の問題ではない」という認識が広がってきました。一部の報道は、個別の不正や例外的スキャンダルよりも、制度が果たしている安全網としての機能や、現場の詰まりを解消する処方箋に焦点を当て始めています。生活保護は“最後の砦(とりで)”であると同時に、困窮が深まると速やかに門戸を開くべき「入り口の制度」でもあります。その二面性をどう両立させるかが、次の10年の課題です。

つづきは、ログイン後に

『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。

大山典宏(明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)専任教授)

この記事の著者

大山典宏(明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)専任教授)

1974年生まれ。専門は、社会福祉政策・公的扶助論。社会福祉士、精神保健福祉士。立教大学大学院コミュニティ福祉学研究科博士後期課程修了(コミュニティ福祉学博士)。志木市役所職員、埼玉県庁職員、高千穂大学准教授、同教授を経て現職。杉並区子ども・子育て会議会長、内閣府子どもの貧困対策に関する検討会構成員(オブザーバー)など、貧困問題の専門家として幅広い活動を続けている。著書に、『精選生活保護運用実例集』(編著・第一法規出版)、『生活保護vsワーキングプア』『生活保護vs子どもの貧困』(PHP新書)、『隠された貧困』(扶桑社新書)など。

Copyright © DAI-ICHI HOKI co.ltd. All Rights Reserved.

印刷する

今日は何の日?

2026年 417

下関条約調印(明治28年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る