元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
はじめに
本稿では、「自治体議員のマニフェスト」と、これらに関する事項等について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
マニフェストと選挙
北川正恭によれば、マニフェストとは、目指すべき組織ビジョンとそれを実現するために必要な政策を数値目標、期限、財源、工程表付きで明示した選挙公約です(北川 2006)。マニフェストは、当選後にどのような政策をいつまでに実施するか、数値目標を示し、財源をどのように確保するかなども明示しているところが従来の「公約」との違いであると いわれています。日本では、2003年に北川正恭・元三重県知事が、地方でローカル・マニフェストを掲げた選挙を提唱し、2003年4月の統一地方選挙において改革派知事らが賛同して広がったとされています(宮入 2014:14)。
自治体のマニフェストである「ローカル・マニフェスト」という言葉は、従来から、首長が選挙の際に有権者に対して就任後の政策を明示し、約束することを意味しています。これは、国政選挙における国政政党や立候補の「マニフェスト」とは、対になる言葉です。国政選挙における「マニフェスト」は、独任制の首長を選出するのではなく合議制である議会の構成員である議員を選出するということから見ると、自治体(=地方政府)における「議員マニフェスト」ないし「議会マニフェスト」と共通点があるかもしれません(表1参照)。
なお、国の議会である衆参両院の議長と、内閣総理大臣の選挙については、表1に示すように今のところマニフェストを用いた選挙にはなっていませんが、将来的にはマニフェストを用いた選挙になることがあるかもしれません。
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