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2025.09.10 議会運営

新しい議会基本条例に期待して:「something new」を考えたらどうだろうか

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関東学院法学部地域創生学科 牧瀬 稔

1 拡大する議会基本条例

 議会基本条例の経緯を確認する。2006年5月に栗山町議会(北海道)が全国で初めて議会基本条例を制定した。その後、同年12月に都道府県では三重県議会が制定している。2006年の時点では、栗山町議会、湯河原町議会(神奈川県)、三重県議会の3議会のみであった。市議会では、2007年2月に伊賀市議会(三重県)が初めて議会基本条例を制定した。
栗山町議会の制定を契機として、議会基本条例が増加してきた。図は議会基本条例の制定の推移である。右肩上がりで拡大してきた様子が理解できる。2025年3月末では1,030の議会基本条例が存在している。
スクリーンショット 2025-09-08 161710

図 議会基本条例の制定推移

 議会基本条例が爆発的に増えてきた事実は、「自治基本条例」と比較すると分かりやすい。自治基本条例とは、自治体運営の基本原則を定めた条例であり、しばしば「自治体の憲法」といわれる。
 自治基本条例は、2000年にニセコ町(北海道)が「ニセコ町まちづくり基本条例」を制定し、全国に広がることになった。「全国条例データベース powered by eLen」(https://elen.ls.kagoshima-u.ac.jp/)において調べると、約220条例が制定されている。議会基本条例は1,030条例あるため、いかに議会に浸透してきたかが理解できる(自治基本条例のスタートは2000年、議会基本条例は2006年である)。
 議会基本条例の制定動向を「対前年増加率」で検討すると、2016年以降は1桁(%)で推移している。2023年は2.5%となったが、2024年、2025年は拡大傾向にある(2020年→2021年と2024年→2025年が増加している)。もしかすると、未制定の議会を対象に、議会基本条例がブーム化する可能性はある(「ブーム化」という表現は、議会基本条例の制定を検討している当事者には失礼な表現になるかもしれないが、あえて使用している)。
 全国の議会のうち57.6%が議会基本条例を制定している現状である。今日、多くの議会基本条例が存在しているが、課題もある。本稿では、私見を踏まえながら、議会基本条例の課題を考えたい。

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牧瀬稔(関東学院大学法学部教授/社会構想大学院大学コミュニケーション・デザイン研究科特任教授)

この記事の著者

牧瀬稔(関東学院大学法学部教授/社会構想大学院大学コミュニケーション・デザイン研究科特任教授)

関東学院大学法学部地域創生学科教授、社会構想大学院大学コミュニケーション・デザイン研究科特任教授。横須賀市都市政策研究所(横須賀市役所)、公益財団法人日本都市センター研究室(総務省外郭団体)、一般財団法人地域開発研究所研究部(国土交通省外郭団体)を経て、2017年4月より関東学院大学に勤務。 公的活動は、相模原市緑区区民会議委員(会長)、逗子市民参加制度審査会委員(会長)、相模原市シビックプライドの推進に関する検討委員会委員(会長)、子ども家庭庁自治体こども計画に関する調査に係る有識者などの委員に就いている。 ホームページ https://makise.biz/

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