大正大学地域創生学部公共政策学科教授 江藤俊昭
2017年の地方自治法改正において、「条例で議員のうちから監査委員を選任しない
ことができる」との規定が設けられ、議選監査委員は必置の制度ではなくなった。
それから7年が経過し、制度の意義やあり方について見直しを行った自治体議会も
ある。その見直しの中で、改めて議選監査委員制度の意義を確認し、議会からの政策
サイクルに活かす取組みが行われ、議会との協働による自治体改革につながっている
議会も現れた。
そこで、「議選監査委員」について、見直された新たな役割や最新の取組み、そし
てその成果や課題(現在地ともう一歩の方向)などの情報を提供することが、本特集
の目的である。
なお、本特集では、議選監査委員と議会との連携の実践を踏まえて議論する。岐阜
県可児市(川上文浩さん、次回)、東京都あきる野市(子籠敏人さん、次々回)など
現場から検討する。
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争点としての議選監査員の浮上
(1)評判の悪い議選監査委員──従来の議選をめぐる争点
従来から議選監査委員をめぐる議論は多かった。専門性・独立性・中立性に欠けるといった身分・能力(属性)にかかわることから、1年任期で交代、「上がりのポスト」、一般質問ができない(しない)といった運営上の問題まで……。すこぶる評判が悪かった。しかし、識見監査委員でも、行政にたけていないという意味で、首長による任命(監査委員事務局も同様)によって行政に厳しく対応できない可能性があるなど議論すべき論点はある。すでに指摘した議選監査委員をめぐる運営上の問題は、議選監査委員の意味が理解できていない議会・議員に原因がある。議選監査委員の運営上の問題は、その制度とは無関係である。
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この記事の著者
江藤俊昭(大正大学地域創生学部公共政策学科教授)
大正大学地域創生学部公共政策学科教授。 1956年東京都生まれ。1986(昭和61)年中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。専攻は地域政治論。 三重県議会議会改革諮問会議会長、鳥取県智頭町行財政改革審議会会長、第29次・第30次地方制度調査会委員等を歴任。現在、マニフェスト大賞審査委員、議会サポーター・アドバイザー(栗山町、芽室町、滝沢市、山陽小野田市)、地方自治研究機構評議委員など。 主な著書に、『続 自治体議会学』(仮タイトル)(ぎょうせい(近刊))『自治体議会の政策サイクル』(編著、公人の友社)『Q&A 地方議会改革の最前線』(編著、学陽書房、2015年)『自治体議会学』(ぎょうせい、2012年)等多数。現在『ガバナンス』(ぎょうせい刊)連載中。