東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
はじめに
自治体という組織は、様々な資源から構成されていると見ることができる。自治体を、社団や組合やNPOのように、人間の集まった組織として見るならば、人的資源が組織の元手となる。あるいは、自治体を、財団や営利会社のように、資金の集まった組織として見るならば、資金や経済的価値のある現物が組織の元手となる。組織の元手を「資本」と呼ぶならば、人的資本又は経済資本が重要である。
もっとも、人間が人間だけで、あるいは、資金が資金だけで、組織を運営できるわけではない。通常は、こうした元手(資本)を起点にして、様々な資源を調達し、資源を加工変換し、資源を手段にして環境に働きかける。資源の変態(メタモルフォーゼ)の循環過程を通じて、組織は運営される。その意味で、元手や資本が何であるかは、ある意味で説明の便宜や、組織の創設の縁起由来書にすぎず、実際には、資源の組み合わせが重要といえよう。そこで、自治体という組織について、自治資源の観点から、資源の組み合わせと循環を考えてみよう。
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