常磐大学総合政策学部教授 吉田 勉
前回の前半は、議員提案条例の取組みに対する全国の議長の認識調査(2022年10月~11月)を踏まえて本学で開催した議員提案条例を中心とした二元代表制に関するシンポジウム(2023年1月)における議論の結果を報告した。
その中で、議員提案条例の取組みをはじめとする都道府県議会改革度ランキング1位を継続している茨城県議会の議員提案条例審議の有り様(定例会最終日に提案され、質疑もない中、可決されているという実態など)を課題視し、学生目線での改善意見を出したところ、パネリストの県議会議長はそれに理解を示し、その流れもあって県議会運営委員会において「議員提出発議案は原則、委員会付託とする」といった方針が打ち出された(同年6月)。茨城県議会における議員提案条例制定プロセスに大きな見直しが示されたわけである。
その見直し後の取組みの第1号の条例審議が、令和6年第1回定例会(2024年2月~3月)に付議された「茨城食と農を守るための条例」となった。今回の後半においてその審議の状況にも触れてみたい。
また、茨城県で最近成立した先進的かつ独自性のある条例で、議員提案と執行部提案の双方の事例を取り上げてその制定プロセスを検証することとし、前回の後半ではまず議員提案条例の2本(ケアラー支援条例、性暴力根絶条例)を題材に考察した。その結果、議員提案条例でも学生やパブリックコメントの意見に柔軟に対応し、また、提案会派内部でも公に修正が加えられている実態も明らかになった。
今回は、この続きとして執行部提案条例を2本取り上げて、その制定プロセスに議会がどのように関与したのか、議員の意向を反映するような手立てはなかったのかどうかなどを見ていきたいと思う。
そして、これまでの考察を通じて議員提案条例をはじめ条例制定のあり方を提起したいと思う。
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