東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
はじめに
この連載は、議員のための自治体行政学として、自治体に関わる様々な特性を、当面の具体的現象からは一歩距離を置いて、理論的・多角的に解明しようというものである。しかし、2023年12月21日に、国は、第33次地方制度調査会の「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」(以下「今次答申」という)を活用して、補充的指示権なる新たな集権的方策を打ち出した。これは、2000年の第1次分権改革のみならず、戦後自治制度の前提をも掘り崩しかねない、国・自治体間関係に深刻な影響を与えうる重大事態である。その割には、自治の現場での危機感は乏しい。今回は、連載の番外編として、この補充的指示権論について、取り上げてみたい。
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