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2023.10.25 政策研究

第43回 協調性(その6):遠隔協調

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之

遠交近攻?

 自治体間の水平的協調は、近隣・近接の市区町村・都道府県間で進められることが通常のイメージである。市区町村を超えた連続的な空間の広がりが、しばしば広域や圏域と呼ばれるのは、これまで触れたところである。もちろん、実際の空間設定は、「漏れ」や「飛び地」がないとは限らず、その意味で、必ずしも連続しているわけではない。つまり、近隣・近接というように、「隣」合うとか「接」している、とは限らない。そうはいっても、相対的に「近」い自治体同士で、水平的協調がなされることが、通常のイメージである。
 しかし、近隣・近接の自治体は、社会経済的な条件が似ている、あるいは、同一圏域であるがゆえに、競争性や、ときに対立性が強く作用することもある。例えば、大都市圏自治体で子育て世代の居住を呼び込むとか、地方圏自治体で移住・定住を訴えかけるとき、近隣市町村間では住民の取り合いである。あるいは、ある中心都市の郊外市町村に、郊外住宅地が開発されたり、郊外型ショッピングセンターが進出したときには、中心都市と郊外市町村との間で、住民や客の取り合いで競争が生じてしまう。しばしば、郊外部での開発規制をすることが、圏域の市町村全体の利益になることもあるかもしれないが、実際には、各市町村が自己利益を追求し、周囲の市町村の衰退を招くこともある。いわば、近隣窮乏化政策である。このように、自治体は、近い自治体との間でこそ利害が対立し、協調を図りにくいところもある。
 

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金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学))

この記事の著者

金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学))

東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 1967年群馬県生まれ。東京大学法学部卒業。 東京都立大学助教授、オランダ国立ライデン大学社会科学部行政学科客員研究員、東京大学助教授を経て、06年より現職。 専門は自治体行政学・行政学。主な著書に『自治制度』(2008年度公共政策学会賞受賞)、『原発と自治体』(2013年度自治体学会賞受賞)等。

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